イベントレポート

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共創ライブ #8 METoA Ginza × HACK-Academy
三菱電機と考える、月での暮らし
〜宇宙から地球へのサステナビリティのヒント〜

2023年9月15日(金)

第2部 テーブルディスカッション
三菱電機と考える、月での暮らし
〜宇宙から地球へのサステナビリティのヒント〜

第2部では、参加者全員で「月での暮らし」をイメージし、課題やその解決方法について考えるテーブルディスカッションを行いました。みなさんに与えられたミッションは、月に1カ月間100人で滞在することを想定し、それぞれの任務を遂行するうえで直面しそうな課題と解決につながるアイデアを見つけること。さらに、その中から地球で暮らす人のサステナビリティのヒントを導き出す、というものです。

■Aテーブル【調理係】

月面で生産できる食物は有限のため、飽きない仕掛けが必要です。そこで、香味スプレーやVR、環境音などを駆使して、嗅覚や視覚、聴覚など五感に訴えることで食事をより楽しもうという案が出ました。また、限られた食材でバリエーションを増やせるレシピも、4週間分考案。月の漬物「月物」や月見うどんなど、月らしいメニューも入れています。ここから導き出したサステナビリティのヒントは、「食材が少なくても工夫できる!」です。

■Bテーブル【洗濯係】

洗濯に使うエネルギーについて議論しました。そこで出たアイデアの1つは、熱の急激な変化からエネルギーを抽出するというもの。昼夜で気温差の激しい月でなら、それも可能だと考えました。アイデア2は、砂ぼこりを磁力で飛ばす方法。これなら水を使いません。アイデア3は、岩石発電。岩に含まれるマグネシウムや銅を使って電気をつくります。また、岩から水を取り出すこともできそうです。この中でも温度差発電は、気候や熱伝導物質の特性を活かすことで、地球でも応用できるのではないでしょうか。

■Cテーブル【マンション管理係】

心身ともにストレス抱えやすくなる月での共同生活において、「環境」「交流」「快適性」の3つの観点から課題を話し合いました。まず環境については、昼夜の寒暖差をなくし、地球の気候に近づける工夫が必要です。また、マンション内の交流を育むためにSNSや掲示板を設置、快適な共同生活を送れるよう建物内でできる娯楽をつくろうという意見も出ました。干渉しすぎない交流と新たな地域コミュニティの創出は、今の暮らしをよりよく持続させるヒントにもなると思います。

■Dテーブル【健康管理係】

「体内サイクルが保てない」という課題に着目しました。昼と夜が15日ずつ交互に続く月では、心地よい睡眠をとるのもむずかしくなります。そこで物理的に明暗を分けた場所をつくることで、この問題を解決しようと考えました。また、体内サイクルを保つためには共通の時間認識も必要なので、見えるところに大きな時計を置くとともに、腕時計を兼ねたデバイスで個人の運動量や健康状態の管理も同時に行っていきます。物理的明暗を創出するアイデアは、農作物栽培にも転用できるのではないかと考えています。

■Eテーブル【調理係】

私たちが調理係として議論したテーマは、長期にわたる生活の中で飽きない工夫を考えること。中でも盛り上がったのは、食べたものや調理方法をポイント化してゲーム感覚で楽しむというアイデアです。これまでの常識にとらわれず、月ならではの食材や食べ方、つくり方を提案することで、より多くのポイントを獲得できます。こうした新しい食材や調理法の探究は、地球における食の可能性を広げることにもつながるのではないでしょうか。

■Fテーブル【洗濯係】

洗濯するにあたって、できるだけごみを出さない方法を3つ考えました。1つは、衣服の素材をツルツルにして汚れにくくすること。2つ目は、水と分離しやすい洗剤の開発。3つ目は、水を使わずエアシャワーでほこりを取り除く、というアイデアです。これらを踏まえたサステナビリティのヒントは、洗濯のいらない「ツルツルファッション」を地球でも流行らせること。また、洗濯物は地域で収集してまとめて洗う。こうすれば、洗濯回数が減り、使う水も節約できます。

■Gテーブル【マンション管理係】

限られた空間での人間関係について考えました。月での暮らしには、不安も多いと思います。その不安を一人で抱え込まないようにコミュニケーションの場をつくっていくことが大切です。例えば、みんなでラジオ体操をやるのもその一例。でも100人全員を集めるのは大変なので、バーチャルアバターを使おうという提案がありました。このアイデアは、地域・伝統の維持にも役立ちます。例えば過疎化した地域でも、バーチャルの活用によって関係人口を増やすことができるのではないでしょうか。

■Hテーブル【健康管理係】

月での「体内サイクルの乱れ」について、「食事」「環境」「精神面」の3点から議論しました。月に暮らす人々は、出身国も食べるものも異なると思うので、食事はビュッフェ形式にしてアプリで管理する方法を提案します。また環境面においては、地球と変わらない日照時間を確保できる仕掛けが必要だと考えました。さらに、精神的なストレスを解消するためにはイベントも重要です。運動会などを開催すれば、体の健康にもつながります。サステナビリティを実現するうえでも、健康維持は大切だと考えます。

■Iテーブル【調理係】

飽きない食事の工夫を考えました。1つは、主食の派生です。同じ米でもカレーで食べるのか米粉パンにするのかで異なる味覚が楽しめます。2つ目は、環境の変化。食べる場所や照明の色、使う器を変えることによってまた違った感覚が味わえると思います。そして3つ目は、人です。誰と食べるか、どんな話をするかで食事の印象も変わります。以上から考えたサステナビリティのヒントは、「食事はみんなで楽しく」。一カ所に集まって食べれば省エネになるし、多様な世代と会話することで互いの知見も広がります。

■Jテーブル【洗濯係】

私たちが考えたのは、水を使わない洗濯です。例えば、砂を使って汚れを落とすのもその1つ。実際に、砂漠地帯では砂で食器を洗う事例もあるようです。次に挙がったのは、ドライクリーニング。月の汚れは砂やほこりが多いので、吸い取ったり吹き飛ばしたりしてキレイする方法です。3つ目はジェルクリーナー。本来は車やパソコンの汚れを落とすものですが、服にも応用できるのではないかと考えました。「水の有限性に気づく」「無駄をなくす意識を持つ」ことは、サステナビリティの観点からも重要だと思います。

月面元年、スタート地点に立っているのはみなさんです!

以上、52人の大学生たちが考えた10のアイデアをご紹介させていただきました。月の課題解決だけでなく、地球のサステナビリティにつながるヒントも数多くあったのではないでしょうか。

今回のディスカッションテーマは、「Ticket for LunaCity Issue Book」に基づいて構成されています。

その制作プロジェクトのリーダーである、三菱電機 統合デザイン研究所の齊川義則さんからは、学生のみなさんに向けたこんなメッセージが寄せられました。
「これから人類が月面拠点を開発していくにあたって、世界中でさまざまな研究が行われています。今年はまさに月面元年。そのスタート地点に立っているのは、ここにいるみなさんです。今日考えてくれた素晴らしいアイデアを、10年後20年後の未来に本気で取り組んでくれる人が出てくることを期待しています!」

最後に全員で記念撮影をし、3時間30分に及んだイベントは終了。みなさんのキラキラした笑顔が印象的でした。ご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

「共創ライブ #8」にご来場のみなさまのお声をご紹介します!

会場では、ご来場のみなさまにアンケートを実施いたしました。「色々な視点からものを考えることのヒントを得た」「普段の生活で考えないことを考える機会だった」「同年代の初めて会う方々と意見の交流ができた」などたくさんのご回答、「とても満足」との高評価をいただいております。ここでは、いくつかを抜粋してご紹介しましょう。

【質問1】共創ライブ#8に参加されて、どの程度“満足”しましたか?その理由も教えてください。

満足:宇宙について全然知識がなかったが、このイベントで色々な知識を得られたため。
(環境都市工学部 男性)

満足:遠く離れたものだと思っていた宇宙や月での生活の可能性を感じることが出来て、文理の壁を越えた学びを得れたように思いました。
(社会学部 女性)

満足:1部では、宇宙の話をよく知ることができました。自身の学部では全く関わることのない分野であるためとても勉強になりました。宇宙に興味を持ったとともに三菱電機の取り組みをより知りたいと感じました。2部では、様々な人とともに問題に取り組むことで、共同性を養うことができたと考えます。
(30代 会社員 男性)

満足:自分の知らない知識を得られたし、グループワークでも多くの人のアイデアを知れた。
(総合情報学部 女性)

まあ満足:宇宙についての知識を何も知らなかったのでこのような場で知ることができたのはとても良かったと思ったからです。
(人間健康学部 男性)

満足:ニュースなどでは聞けない専門的なお話も聞けたから。
(経済学部 女性)

【質問2】共創ライブ#8の「ご感想・ご意見・ご要望」をお聞かせください。

宇宙がこんなに身近になっているなんて知らなかったです。グループワークの時間がたくさんあったのでとても楽しみながら意見を交わせることができました。
(法学部 男性)

宇宙は意外と身近なものであった。おもしろい。これからどうなっていくのか、興味を持つようになりました。
(商学部 女性)

宇宙ビジネスはこれから広がっていくと思うので、私たちでもたくさんのアイデアがでて、これからもワクワクすることが多くて、夢があると思いました。
(システム理工学部 男性)

「やるから儲かる」って言葉が特に印象に残っています。ポテンシャルに惚れました。
(社会学部 女性)

宇宙について、そんなに深く考えたことがなかったが、こんなにも素敵な未来が広がっていると考えるととてもワクワクしました。
(社会学部 女性)

月に住むという今まででは到底考えられなかったことについて、思考を凝らすこの機会がとても楽しく感じました。
(総合情報学部 男性)

【質問3】共創ライブ#8から得た「気づき」を元に、あなたの生活・行動にどのような変化がありそうですか?

福祉について学ぶ中で、視点を変えることの重要性はよく感じていましたが、宇宙に暮らすことを軸にすると逆に地球の便利さや危うさをより深く感じる体験ができました。今あるものを当たり前と思わずに、大切に守る意識を持って生活したいと思いました。
(社会学部 女性)

SDGsに関して、悲観的に捉えず新しい観点や発想の源泉であると気付いたので、これからもSDGsについて考えて行動していきたい。
(文学部 女性)

サステナビリティはそんなに難しいものではないなと感じました。
(システム理工学部 男性)

宇宙に関して調べてみたいなと思いました。特に人が住めそうな星に関しては探したいです。
(総合情報学部 男性)

自分の学部の専門分野にも非常に関係性のある内容でした。
宇宙での問題をを地球に還元していく。
すごく興味深くて、楽しかったです。
(社会安全学部 女性)

留学経験を得て、他国の文化を知り視野が広がったと満足していましたが、月について、他の惑星について考えた事でより視野が広がりました。資源、エネルギーの有限さをとても強く感じたので、エコを意識した生活をすることができそうです。
(経済学部 女性)

ご参加いただいた方には、あらためて御礼申し上げます。
「共創ライブ #8」の模様は、METoA Ginza公式YouTubeチャンネルでもご覧いただけます。ぜひお楽しみください。