イベントレポート

イベントレポート

共創ライブ #8 METoA Ginza × HACK-Academy
三菱電機と考える、月での暮らし
〜宇宙から地球へのサステナビリティのヒント〜

2023年9月15日(金)

ご来場者からの質問に答えていただきました!

トークセッションの後には、質疑応答のコーナーが設けられました。その一部をここでご紹介します。

月での暮らしにはワクワクしますが、重たい宇宙服を着て生活するのは大変です。
この問題は解決できますか。

吉河さん:できます。居住スペースとして想定されている月面トンネルは、ガラス磁気に覆われているため、内部は魔法瓶のような空間です。つまり、人工的に空気を充満させることで、宇宙服なしでも暮らせます。魔法瓶といっても広大な空間なので、ご安心ください。

林さん:現在、トヨタ自動車さんと三菱重工さんが共同で、「ルナクルーザー」という有人与圧ローバーの開発プロジェクトを進めています。車内は四畳半ほどの広さで与圧された密封空間のため、宇宙服なしでも月面を移動できるのが特長です。こうした技術力によって解決する方法もあるでしょう。また、もう一つ期待されるのは、人類の進化。かつて魚が海から陸に進出したように、空気がなくても生きられる体を手に入れられる日が来るかもしれません。いつになるかはわかりませんが。

与圧とは、圧力を与えること。主に、高高度を飛行する航空機や宇宙空間での宇宙船において、気密性の高い空間や区画を設け、人間の生存に支障がないよう気圧を高めることを指す。

月に人工的なモノが行き来するようになったら、また地球温暖化のようなことが起こるのではないかと心配です。

吉河さん:そうならないために、世界各国で厳しい取り決めがなされます。現在も、平和的利用や環境維持、領有禁止などを定めた「月協定」(正式には「月その他の天体における国家活動を律する協定」)はありますが、将来的には、月の天然資源や開発に関する国際ルールも設けられるでしょう。地球での失敗を繰り返すようなことがないように、世界中が一致団結して協力する。これも「地球人」としての大切な努めだと思います。

林さん:今、宇宙ごみ(スペースデブリ)が大きな問題になっています。人工衛星の数が増えすぎて軌道が渋滞し、衝突によって破片が発生してしまっているんですね。そういった問題を未然に防ぐためにも、これから行く月に関しては、あらかじめ国際的なルールをつくっておくことが重要だと思います。

質問いただいたみなさま、ありがとうございました。

共創ライブを終えてのひとこと

林 公代さん

宇宙から地球を眺める視点を持つことで、ものの見方や考え方は大きく変わります。例えば、体に障がいを持っていたとしても、宇宙では自由に動き回ることができ、それが発想の転換につながります。宇宙に出ることで、多くの人がさまざまなあり方を認め合う、真の多様性社会も実現できるのではないかと期待しています。今日はありがとうございました。

吉河 章二さん

私たちは重力を当たり前のものだと思っていますが、いざ宇宙に出れば無重力だし、月の重力は地球の1/6です。すると、ここで暮らすにはどうすればいいんだろうと、考える軸が一つ増える。もしかしたら、無重力や低重力だからこそできることもあるかもしれない。そうした新しい発想の軸を、今の暮らしに活用してみてはどうでしょう。きっとサステナビリティにつながる新しい気づきや発見があるはずです。

清水 誠一さん

SLIMの開発に携わり、月を意識するようになってからは、新しい目線で考えることが増えてきたように思います。これから月探査はますます進んでいきますが、限られた資源を奪い合うようなことはしたくないので、ルール策定や法整備は重要だとあらためて感じました。これまでの地球での反省を踏まえて、快適な月生活を実現できるよう研究してまいります。

⻑谷川 琢也さん

SDGsは、Sustainable Development Goalsの略。つまりはゴールを目指すわけですが、その目標も地球だけで考えるのではなく、宇宙や月に目を向けることでもっと可能性が広がるし、想像力もふくらむはずです。そうなれば、できることややりたいことがさらに増え、持続性もより高まっていく。そんな気づきを与えられた、素晴らしい共創ライブになったと思います。みなさん、本当にありがとうございました。