ご来場者からの質問に答えていただきました!
トークセッションの後には、質疑応答のコーナーが設けられました。その一部をここでご紹介します。
月での暮らしにはワクワクしますが、重たい宇宙服を着て生活するのは大変です。
この問題は解決できますか。
吉河さん:できます。居住スペースとして想定されている月面トンネルは、ガラス磁気に覆われているため、内部は魔法瓶のような空間です。つまり、人工的に空気を充満させることで、宇宙服なしでも暮らせます。魔法瓶といっても広大な空間なので、ご安心ください。
林さん:現在、トヨタ自動車さんと三菱重工さんが共同で、「ルナクルーザー」という有人与圧※ローバーの開発プロジェクトを進めています。車内は四畳半ほどの広さで与圧された密封空間のため、宇宙服なしでも月面を移動できるのが特長です。こうした技術力によって解決する方法もあるでしょう。また、もう一つ期待されるのは、人類の進化。かつて魚が海から陸に進出したように、空気がなくても生きられる体を手に入れられる日が来るかもしれません。いつになるかはわかりませんが。
※与圧とは、圧力を与えること。主に、高高度を飛行する航空機や宇宙空間での宇宙船において、気密性の高い空間や区画を設け、人間の生存に支障がないよう気圧を高めることを指す。
月に人工的なモノが行き来するようになったら、また地球温暖化のようなことが起こるのではないかと心配です。
吉河さん:そうならないために、世界各国で厳しい取り決めがなされます。現在も、平和的利用や環境維持、領有禁止などを定めた「月協定」(正式には「月その他の天体における国家活動を律する協定」)はありますが、将来的には、月の天然資源や開発に関する国際ルールも設けられるでしょう。地球での失敗を繰り返すようなことがないように、世界中が一致団結して協力する。これも「地球人」としての大切な努めだと思います。
林さん:今、宇宙ごみ(スペースデブリ)が大きな問題になっています。人工衛星の数が増えすぎて軌道が渋滞し、衝突によって破片が発生してしまっているんですね。そういった問題を未然に防ぐためにも、これから行く月に関しては、あらかじめ国際的なルールをつくっておくことが重要だと思います。
質問いただいたみなさま、ありがとうございました。