オープニング・今どきの恋愛事情2024

登壇者の方々の自己紹介の後は「今どきの恋愛事情2024」と題して、Z世代がどう恋愛を考えているのか最新のトレンドについて、マーケッターとしてネット時代の恋愛観やトレンドに詳しい牛窪さんに、データを提示しながらご紹介いただきました。
【いままでに交際した人数は何人ですか?】
【あなたは「恋愛が面倒」だと感じますか?(18~28歳男女)】
最初のトークでは、大学生社会人ともに3人に1人が交際経験ゼロ、その理由として、同回答者の6~7割が恋愛が「とても面倒だ」「やや面倒だ」と答えた、との調査データを紹介。
牛窪さんは令和の若者の恋愛トレンドを「タイパな恋愛」「恋より推し活」「デジタル発恋愛」だと分析、関連する調査結果を3つ挙げてくださいました。
①タイパな恋愛【なぜ「交際0日婚」に肯定的なのですか?(20~26歳男女)】
ある調査では、Z世代の男女ともに約6割が「交際0日婚」に肯定的。トップの理由は「恋愛が面倒」ですが、3位が「時間を無駄にしたくない」、5位が「直感やフィーリングを大切にしたい」で、3位、5位ともに「(直感重視の)タイパな恋愛」とも取れる回答でした。この結果に自身もZ世代であるMCの高木さんは「交際ゼロ日で結婚した後に嫌な部分が見えたら困るので、お互いを知る期間は大事にしたくて」と「交際ゼロ日婚」には必ずしも賛同できないとしつつ、周囲にはやはりタイパ重視の人が多いとも言います。
②恋より推し活【あなたにとって「大事なもの」は何ですか?】
牛窪さんは、「Z世代は恋愛に関心があるものの、他に比べて優先順位が低い」と感じているそうです。ある調査でも、「高校生・大学生で『恋愛』を『大事なもの』のベスト5にあげたのは、大学生男子のみで5位。女子では『恋愛(高校生9位、大学生7位)』に比べて『推し活(高校生4位、大学生5位)』が明らかに優位でした。脳科学的に推し活と恋愛は、心地良いドーパミンの放出のされ方が似ているそうなので『推し活』にハマると恋愛にまで気が回らないかもしれません。」(牛窪さん)
小泉監督から従来世代との違いを知りたいとの問いかけに、牛窪さんは2014年に内閣府が行った調査で、恋人がいない若者(未婚者)の約5割が『恋愛が面倒』だとした回答を例に挙げたうえで、「私が著書『恋愛しない若者たち(ディスカヴァー携書)』を書いたのも同じころ(約10年前)ですが、当時よりその傾向はさらに増えてると感じます。」 (牛窪さん)
平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)|国立国会図書館インターネット資料収集保存事業サイト
③デジタル発恋愛【直近で付き合った恋人と、どのような場で出会いましたか?】
マッチングアプリが学校を上回って1位との結果と、ミレニアル世代のデータを比べるとZ世代のマッチングアプリの割合が多いので、もっと増えそうだと牛窪さん。出会いの場は既にデジタルになっているようです。
ここで会場の皆さんに「これからの恋愛について」どう思うか、3つの選択肢から選んでいただきました。
A.人間同士の恋愛が主流であり続ける
B.AIとの恋愛が増えていく
C.バーチャル恋愛やアプリでの出会いがほとんどになる
選んだ方が多い順に、C. が9名、A. が4名、B. はゼロという結果を受け、小泉監督や山田先生は少し意外そうです。「Z世代は「恋愛が」と聞いてAIとの恋愛は人間相手と違って面倒じゃないからB.を選ぶかと思ったんですが…」 (小泉さん)「B. がゼロだけど、疑似恋愛である推し活はみんなしていると先ほどのデータにもありました。今の推し活は一方通行だけど、AIが入って双方向になったら、『推し』が無限に自分の聞きたいことを言ってくれたら。話が変わってきますね。」(山田さん)
次の質問は4つの選択肢から選ぶ「AIが恋愛に関わることで最も変わると思うこと」です。
A.恋愛の始まり方(出会いのプロセスがAI主導になる)
B.感情の理解(AIが人間の感情を深く理解できるようになる)
C.関係の維持(AIがアドバイザーとして恋愛をサポートする)
D.恋愛の終わり方(AIが関係を管理・解決する手助けをする)
A.の「恋愛の始まり方(出会いのプロセスがAI主導になる)」が圧倒的多数になったことを三菱電機の斉藤さんは、タイパ重視のZ世代にとって恋愛の始まりにAIが関わることは自然なことと言います。
「マッチングアプリにAI技術が使われています。価値観の近い人と出会いやすくなったことが、タイパ重視のZ世代に受け入れられているのだと思います。また、チャットで相談に乗ってくれたり話し相手になってくれるAIも次々登場しています。人間よりも優しく、気持ちを理解してくれているような反応を返してくれるので『感情の理解』『関係の維持』『恋愛の終わり方』も今後間違いなく変わっていくと思います。恋人とのチャットのやり取りをAIに任せてしまう未来もありうるかもしれません。」(斉藤さん)
既にAIにやり取りを任せている人を知っているというのは牛窪さん。「マッチングアプリは、単純にやりとりを増やす方が、次に進める確率が上がるシステムです。ある大学院の学生は、お相手が過去に行った場所の写真やプロフィールから好みを次々にAIに読み取らせて、裏で気付かれないようにAIにチャットさせ、喜ばれたらその反応をさらに学習させる、というプログラムを開発中だと言っていました。」(牛窪さん)