イベントレポート

イベントレポート

METoA Ginza Meet-up
-今日から始めるサステナアクション-
調べよう!捨てられたプラスチックのゆくえ。

2023年8月1日(火)

「サステナブルな社会とは」を考えるイベント「METoA Ginza Meet-up」の第2弾は、夏休みの特別企画!海岸で海洋プラスチックごみを拾ったり、家電製品のリサイクル工場を見学したり、拾ってきた海洋プラスチックごみを使ってキーホルダーを作ったりと、盛りだくさんな内容です。様々な体験や触れあいを通じて、捨てられた後のプラスチックのことを知り、私たちの暮らしの中でどのようにプラスチックと接していけばよいか一緒に考えました。

プラスチックのゆくえを探りにいこう!

8月1日の朝、METoA Ginza 1Fの『METoA Cafe & Kitchen』に集合した参加者の皆さんは、スタッフから本日の体験のオリエンテーションを受け、大型観光バスに乗って千葉県船橋市の「ふなばし三番瀬(さんばんぜ)海浜公園」へ。大人も子どもも夏休みの遠足気分でちょっとウキウキ。

宝探しの感覚でプラスチックごみを回収

最初の目的地、ふなばし三番瀬は東京湾の一番奥に位置し、船橋市、習志野市、市川市、浦安市の東京湾沿いの広大な干潟です。都心から一番近い潮干狩り場としても人気を集めています。到着するとすぐにスタッフに引率され海岸へ。翌日(8月2日)が満月で大潮。この日も干満の差が大きく広々とした干潟が目の前に現れていました。陽射しは強いものの風があって気分は爽快です。

キーホルダー作りのワークショップで講師を務めてくれるbuφy(ブイ)の 小林輝星さんがビーチクリーンの手順やその目的を説明してくれました。ごみはトングでつかんで拾い、ふるいで砂を落として、プラスチックか可燃ごみか不燃ごみか分別して袋に入れます。後のワークショップで使えそうなプラスチックごみは選別して持ち帰ります。「ごみを拾うというより、宝物を探す気持ちで…」という小林さんの言葉に励まされ、炎天下の波打ち際で作業を開始しました。

この海岸はよく整備されていて、それほどごみが落ちていなそうに見えましたが、よく見ると波打ち際の打ち上げられた海藻の中に小さなプラスチックの破片がいくつも見つかりました。最初は炎天下でゴミ拾いなんて…と思っていた人も、プラスチックごみを探すのが楽しくなって夢中になってあっという間に時間が過ぎました。

小林輝星

小林輝星さん

buφy(ブイ)

プラスチックメーカーの有志によって生まれた海洋プラスチックゴごみを材料にしたプロダクトブランドです。海洋プラスチックゴごみのように劣化してプラスチックの種類がわからない状態でも成型を可能にする技術を開発。海洋プラスチックごみを材料に新しい製品を作るだけではなく、海に流出するプラスチックごみをなくすための様々な活動をしています。

家電リサイクルの現場を見学

ビーチクリーン活動の後は、公園のすぐ近くに位置する株式会社ハイパーサイクルシステムズ(以下、HCS)の家電リサイクル工場へ。通常、工場はモノを作るのが役目ですが、この工場は使われなくなったモノを壊して、再利用できる素材を回収しています。HCSでリサイクルしているのは、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビなどの家電製品とパソコンなどのOA製品です。一体、どんな作業が行われているのかみんな興味津々です。

HCSの唐金 太郎さんが、実際の工場に設置してある設備をミニサイズにしたデモ機を使ってそれぞれの工程の選別の仕方を見せてくれました。子どもたちはよく見えるように模型の前に集合!磁力で鉄を選別する様子やアルミや銅などの鉄以外の金属を選別する様子、比重の違いを利用してプラスチックを選別する様子を実演していただきました。デモ用の金属片やプラスチック片が自動的に選り分けられる様子に子どもたちは声をあげて見入っていました。

モノの終点は、新しいモノの出発点

そして、いよいよリサイクル工場内を見学します。見学にあたって工場内での安全上の注意をしっかり受け、工場見学者用の帽子を着用。見学した工場は3階建てで、1階に廃棄されたエアコン、冷蔵庫、洗濯機が集められ、それぞれのリサイクル工程に分けられます。廃棄された家電製品の数の多さに驚きました。

分けられた家電製品は、まず工場スタッフの手作業によってパーツが外されます。単一のプラスチックでできた野菜室などはここで外され、細かく破壊されてプラスチックフレークになります。メーカーや年式によって構造が少しずつ異なるので、熟練したスタッフの手で、すみやかに取り外されていきます。

次に3階までエレベーターで上がってエアコンのリサイクル工程を見学しました。古いエアコンや冷蔵庫には冷媒にフロンガスを使用しているものもあります。フロンガスは温室効果ガスの一つでもあるので専用の装置を使って安全に回収しています。3階からは階段で2階に下りて冷蔵庫のリサイクル工程を見学、そして1階まで下りて冷蔵庫の破砕工程をモニター越しに見学しました。

大きな冷蔵庫が破砕機の中でばらばらになる様子は迫力満点。とくに男の子たちに人気がありました。最後に、選別されて粉砕加工した混合プラスチックフレークを見せていただきました。

普段、家で使っているエアコンや冷蔵庫、洗濯機が廃棄された後、どうなっていくのかまざまざと見ることができ、モノが作られるのと同じぐらい、廃棄されたモノを解体して再利用するために、様々な技術や設備、たくさんの人の力が必要なことを知ることができました。

唐金 太郎

唐金 太郎さん

株式会社ハイパーサイクルシステムズ

三菱電機グループの家電リサイクル会社です。家庭や事業所で廃棄された家電製品やOA製品を、いくつもの工程を経て解体し、純度の高い素材としてリサイクルしています。そのリサイクル率はなんと約99%!ここでリサイクルされた混合プラスチックの一部は、三菱電機の家電製品に再利用されています。モノを生み出すだけでなく、さらにその先の世代にまで届ける高度なリサイクル技術を持ち、資源循環型社会の実現を目指しています。

工場見学の後は、お待ちかねのランチタイム。会議室でおいしいお弁当をいただいてお腹いっぱい! そしてHCSさんからリサイクル工場の仕組みや家電製品の捨て方などを学べるパンフレットをいただきました。子どもたちには、カラフルな12色のボールペンセットがお土産です。HCSのスタッフの皆さんに見送られて今日の最後のミッション、キーホルダー作りのワークショップの会場であるMEToA Ginzaへ向けてバスで出発です。

私たちが回収することで環境悪化を食い止める

METoA Ginzaでは、4つのテーブルに分かれて海洋プラスチックごみとリサイクル工場でプラスチックを回収して加工された混合プラスチックフレークを使って世界に一つしかないオリジナルキーホルダーを作ります。ビーチクリーンで説明をしてくれたbuφy(ブイ)の 小林さんが、海洋プラスチックごみ問題について改めて解説してくれました。海洋プラスチックごみを放置すると、紫外線や波の力などによりさらに細かく砕けていき、マイクロプラスチックとなって水中の生き物や人間にも害を及ぼします。環境や生き物、人間の暮らしを守るためには、ビーチクリーン活動などでプラスチックごみを回収して海岸に放置したままにしないことが大切だと小林さんは話します。その言葉に、午前中、ビーチクリーン活動を行ってきた参加者の皆さんは強くうなずいていました。

捨てられたごみを、捨てられない価値あるものに再生

続いて、キーホルダー作りの説明です。buφy(ブイ)のスタッフが用意してくれた緑、黄、青、赤・オレンジの海洋プラスチックごみの破片と先ほどのリサイクル工場からいただいてきた混合プラスチックフレークを材料に使います。海洋プラスチックごみは、それぞれ色によって産地(ごみを拾った場所)が違っています。緑は沖永良部島(鹿児島県)、黄は奥尻島(北海道)、青は九十九島(長崎県)、赤・オレンジは粟島(新潟県)でとれたものです。

作り方はいたって簡単。まず魚(マグロ)の型を押した透明シートの上に好きなプラスチックごみを、彩りを考えながら載せていきます。山盛りにするのがコツだとか。その上からもう1枚透明シートを載せて、200℃近くまで熱した金型の上に乗せ、上からぎゅっとプレスします。プレスする機械は高温になるためスタッフが操作します。熱で海洋プラスチックが溶けて一体化します。プレスが終わったら金型から外して冷まします。冷めたらバリ(型からはみ出した余計な部分)をニッパーやカッターを使って切り取ります。マグロの目の部分と背びれの部分に穴があくように作られているので、お好きな方に穴をあけ、チェーンを通して完成です。

仕上がりを想像しながら、プラスチックごみを透明シートに載せていくのはとても楽しい体験でした。できあがると想像を超えたカラフルな模様が生まれるのも驚きです。粒々のプラスチックごみが溶けて一体化するとまったく別のものに見えてきます。捨てられていたごみが、捨てられない価値あるモノに変わる!プラスチックごみ問題を解決するヒントがあると感じました。

今日の体験をサステナアクションにつなげる

楽しかったイベントもそろそろ終わりの時間に近づきました。テーブルごとに三菱電機の社員も交ざり、今日の体験を踏まえて、今日からできるプラスチックと上手につきあう方法、これからみんなで協力してできることについて一緒に話し合いました。ゴミ拾いからリサイクル工場、そして自分でプラスチックごみを活用するまで一つの流れで体験できたことはとても勉強になったようです。

最後に参加者の皆さんに、次のステップで自分がしたいことをパネルに書いていただきました。「モノを大切にする」、「物をすぐ捨てない」、「必要ない物は買わない」、「まずは知ること」、「地域のボランティアに参加する」、「水筒を持っていく」などそれぞれが自分できる行動変容を目指そうとしていました。この夏休みの一日の体験が、みんなのサステアクションを起こす大きなきっかけになったのではないかと思います。ご参加いただいた皆さま、そしてご協力いただいた企業の皆さまどうもありがとうございました。

METoA Ginzaでは、これからもみんなで「サステナブルな社会とは」を考えて、行動のヒントを探るイベント「METoA Ginza Meet-up -今日から始めるサステナアクション-」を開催していきます。皆さまのご参加をお待ちしています。

最後に、「METoA Ginza Meet-up 調べよう!捨てられたプラスチックのゆくえ。」にご来場の皆さまのお声をご紹介します

会場では、ご来場の皆さまにアンケートを実施いたしました。「知識として理解していても実際に体験してみることで、より深く考えるきっかけになった」、「たくさんの技術がリサイクルに活用され社会課題の解決に貢献していることを知り共感を持った」などたくさんのご回答、「とても満足」との高評価をいただいております。ここでは、いくつかを抜粋してご紹介しましょう。

METoA Ginza Meet-upに参加されたご感想をお聞かせください。

普段意識してない事を経験できたので有意義でした。
(40代 会社員 男性)

実際に体験したり訪れたのは初めてでしたが、とても普段はできないような貴重な体験をすることができたと思います。大人には適当な説明だったと思いますが、小3、小4のお子さんの目線だともしかしたらたまに難しい表現があったのかなと思いました。
(10代 学生 女性)

家電リサイクル工場見学が良い経験だった
(40代 会社員 男性)

ゴミ拾いから始まり、リサイクル工場、マイクロプラスチックの活用など一連の流れを体験できました。娘の理解度も高く、しっかりと普段の生活で自分なりに出来る事を考えてくれ、とても勉強になりました。
ワークショップだけではなく流れにそって学ぶことができたのはとても良かったです。
親が教えるには限界もあるため、この様なイベントをこれからも開催して頂きたいです。
(40代 主婦 女性)

スタッフや工場の皆さん、とても親切に対応してくださり、イベントの内容もとても良かったです。ありがとうございました。
(40代 会社員 女性)

自分達が使っている家電の後処理や、その後のリサイクルのことまで、普段は知れないことを学ぶことが出来たから。
(10代 中学生 男性)

ゴミ拾いも工場見学も貴重な機会でした。知っていても深く考えられていないことを親子で体験しながら改めて考える良いきっかけになりました。
(40代 主婦 女性)

色々な角度からプラスチックのリサイクルについて知れたから。
(40代 会社員 女性)

ご参加いただいた方には、あらためて御礼申し上げます。