共創ライブQ&A
トークセッションでは、会場に集まった学生さんからの質問コーナーも設けられました。その一部をご紹介しましょう。
三菱電機には、新しいモノをすぐ世に出さず、慎重に開発していくイメージがあります。新技術を社会実装していくにあたっては、どのような取り組みをされているのでしょうか。
毬山さん:きちんと性能保証ができるものを出していくことは、メーカーの大切な務めです。私の所属している研究所では日々新しいことに挑戦していますが、いざ製品化するとなった際には、製作所と連携して「ここまでならできる」「これ以上はできません」といった線引きをしっかり行います。それが最先端の技術であればあるほど、確実な性能を保証することで、安心してお使いいただけるモノづくりを心がけています。
石黒先生がおっしゃるように「人がAIに歩み寄る」ことは、AIに対する不信感を払拭するうえでも大事なことだと思います。人がAIとうまく付き合うためのポイントを教えてください。
石黑さん:人間は、これまでも技術や道具で文明を進化させてきました。自動車やスマホがその好例です。にもかかわらず、なぜかAIだけは怖いと感じている。それはAIがある種、人間を凌駕してしまっているからなんですね。例えば将棋なんかは、AIのほうがはるかに強い。でもそれは自動車も同じで、人よりずっと速く走れるわけです。それでも人間は自動車と共存しているし、AIと将棋を楽しむこともできます。だから無理に競争しようとせず、毎日自動車を運転するがごとくAIを使っていったほうが、生産性も上がり、幸せになれます。まずは、AIを素直に受け入れること。日本人にはそれができると思っています。
共創ライブを終えてのひとこと
石黒 浩さん
人口減少問題を抱える日本は、今後さらに労働生産性を上げていかなければなりません。それには、AIやロボットを使いこなしていく必要があります。今後も倫理に則ったAIの技術革新を進め、社会もそれを受け入れることで、豊かな未来を創っていきましょう。
毬山 利貞さん
AIは生産性向上だけでなく、環境問題の解決にも活躍できるポテンシャルを秘めています。ただ、AIの学習には消費電力をかなり使ってしまうので、そのあたりのバランス感も考慮しながら開発を進めていきたいと考えています。本日は、ありがとうございました。
第2部 ワークショップ
AIの倫理を共に考える「AI SPEC」プロジェクト
第1部の共創ライブに続き、第2部では三菱電機 総合デザイン研究所による「AI SPEC」の取り組みが紹介されました。「AI SPECは私たち一人一人がAI倫理を自分事として考えるために、議論の場を作るプロジェクトです」と説明するのは、同研究所のUIデザイナーである深川浩史さん。
深川浩史(ふかがわ ひろふみ)さん
三菱電機株式会社 総合デザイン研究所
UIデザイナーとして、インフラシステムなどのBtoB向け製品や、モビリティソリューションのデザイン開発を担当。新しいUIの研究開発や、未来社会を描く活動も手掛ける。
AI倫理についてみんなで考え、共有するために深川さんたちが選んだ表現方法は、「マンガ」です。会場では、そのマンガを使ってAI倫理問題を考えるワークショップも行われました。
現在、METoA Ginzaで開催中の「マンガ×AI展」で展示されているマンガ作品も、実はこのプロジェクトから生まれたもの。「AI SPECのサイトでもコンテンツを読むことができますので、ぜひ覗いてみてください」(深川さん)
第2部の終了後には、参加者のみなさんと三菱電機社員による懇親会も催されました。この出会いが、未来に羽ばたく参加者のみなさんにとって意義あるものとなれば幸いです。ご参加いただいた方々には、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
「共創ライブ #10」にご来場のみなさまのお声をご紹介します!
会場では、ご来場のみなさまにアンケートを実施いたしました。「色々な視点からものを考えることのヒントを得た」「普段の生活で考えないことを考える機会だった」「同年代の初めて会う方々と意見の交流ができた」などたくさんのご回答、「とても満足」との高評価をいただいております。ここでは、いくつかを抜粋してご紹介しましょう。
【質問1】共創ライブ#10に参加されての満足度と理由を教えてください。
石黒さんの話と毬山さんの話のギャップが興味深かった
(30代 会社員 男性)
ものづくりにおいて有りたい姿を考え直すきっかけになりました
(30代 会社員 男性)
AIに関して新たな知識を得ることができた。
(学生 男性)
AIやこれからのAI社会について貴重な意見を聞くことができた
(学生 女性)
AIがどのように発展しているのか、AIが抱える問題を知れた
(学生 女性)
自分がこれまで未知に感じていた分野を知ることができ、興味を持つきっかけとなった。
(学生 女性)
【質問2】共創ライブ#10の「ご感想・ご意見・ご要望」をお聞かせください。
AI SPECについて設立までの経緯や問題意識向上のための工夫などをもっと教えて頂きたいと思いました。
(学生 女性)
具体的なAIを搭載した製品事例などを紹介してほしい。
(20代 会社員 男性)
AIについて批判的であったが、今回のイベントに参加してAIとの共存がこれからの社会にとって必要なのだと知ることができました。
(学生 女性)
AIという議題に対して、今どのような現状でこれからどのようなことが行われられるのか深く議論されたので、とても為になる時間でした。
(学生 男性)
普段生活している上で、聞くことができない専門的なことを知ることができ、自分の考えの視野が広がったように感じ、とても有意義な時間になりました。
(学生 女性)
三菱電機さんが思った以上に進歩的な会社だということもわかりました。キンザにも行ってみたいです。
(未回答 女性)
【質問3】共創ライブ#10から得た「気づき」を元に、あなたの生活・行動にどのような変化がありそうですか?
AIを訳もなく怖がることはなくなると思う。
(学生 女性)
日本ならではのAIとの付き合い方を考えていきたいです。
(未回答 女性)
ロボットと共生する世界を意識する
(40代 会社員 男性)
倫理に関しても目を向けるようにしようと思った
(学生 男性)
AIに寄り添う姿勢が大切であるということを学びました。今後はAIと共存するためにAIに対するバイアスをなくしたいと思いました。
(学生 女性)
ご参加いただいた方には、あらためて御礼申し上げます。
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