イベントレポート

イベントレポート

共創ライブ #9
これからの社会に必要とされる仕事ってなんだろう

2023年12月21日(木)

METoA Ginza 出張イベント第2弾
大阪で共創ライブ&ディスカッションを開催しました!

地球環境の変化、デジタル技術やAIの発達、働き方の多様化などにより、私たちの仕事のあり方は急激に変化しています。数十年後には今ある仕事がなくなり、今はない新しい仕事が生まれているかもしれません。そんな未知なる世界に羽ばたこうとしている学生をはじめとしたみなさんに向けて開催したのが、共創ライブ#9「これからの社会に必要とされる仕事ってなんだろう」です。イベント後半では、関西の学生さんたちと三菱電機の社員によるテーブルディスカッションも実施。これからの仕事や働き方に関するさまざまな意見が提案されました。その様子をのぞいてみましょう。

第1部 共創ライブ #9
これからの社会に必要とされる仕事ってなんだろう

横山 泰治

横山 泰治(よこやま やすはる)さん

一般社団法人サステナブルコミュニティ共創機構代表理事

複数のNPOで役員として活動しながら、NPOの設立運営、官民連携共創、SDGs推進のコーチなどとして全国で活動。2020年からは株式会社SEIのグラフィックファシリテーター養成講座の講師も務める。

原 ゆかり

原 ゆかり(はら ゆかり)さん

株式会社SKYAH代表取締役、ガーナNGO法人 MYDREAM.org共同代表

2009年外務省入省。在職中にMYDREAM.orgを設立し、ガーナ共和国ボナイリ村の支援活動を開始。2015年に外務省を退職後、三井物産ヨハネスブルク支店に勤務。2018年に独立。「Proudly from Africa」でアフリカの製品を販売するほか、アフリカ進出を目指す日本企業などに対してコンサルティングを行っている。

片岸 恵子

片岸 恵子(かたぎし けいこ)さん

三菱電機株式会社 先端技術総合研究所 環境・分析評価技術部

2008年三菱電機入社。先端技術総合研究所にて、汚れにくいプラスチックなどの新材料開発に従事。他には製品の品質向上のため、材料の劣化を解析する研究に携わる。3児の母であり、今は研究と子育ての両立に試行錯誤の日々を過ごす。

福田 直晃

福田 直晃(ふくだ なおあき)さん

三菱電機株式会社 関西支社 機器第二部

大学卒業後、住宅設備メーカーへ就職。その後別業界への興味や地元である関西での結婚を考え、三菱電機へ転職。今は家庭・仕事・趣味(ブラスバンド)の3つの柱のバランスを上手くとれるよう模索している。

今回、共創ライブの進行を務めるのは、「from VOICE」の音声コンテンツ「TALKS with」のナビゲーターとしても活躍されている横山泰治さん。その「TALKS with」にゲスト出演された原ゆかりさんを招き、三菱電機社員2名と共に、今の仕事のあり方やこれからの働き方について考えます。

トークテーマ01
現在の仕事と社会のつながり

横山さん:まず最初に、みなさんのお仕事やキャリアについて教えてください。

原さん:外務省や総合商社を経て、現在はガーナのNGO法人やアフリカ進出を目指す日本企業へのコンサルティング、今治.夢スポーツの社外取締役などを務めています。キャリアには山登り型と川下り型があるといわれますが、私はそのハイブリッド型。目指す職業に向けて逆算的にキャリアをつくりつつ、基本は川の流れに身を任せて、その都度仕事を選択してきました。これからもご縁と巡り合わせを大切にしながら、子どもたちが夢を叶えられる社会づくりのお手伝いをしていきたいと思っています。

福田さん:それでいうと、私は完全に川下り型です。大学卒業後に選んだのは住宅設備メーカーでしたが、20代後半のライフステージが変わるタイミングで別の業界への興味を抱き、三菱電機に転職しました。現在は、関西でファクトリーオートメーション(FA)機器の営業を担当。代理店さんや販売店さんと一緒に装置メーカ様などを訪問し、ヒアリングや提案を行っています。また、お客様や商社の方々に三菱電機製FAの魅力を伝えるために、勉強会も随時開催しています。

片岸さん:私は、汚れがつきにくいプラスチック材料の開発に従事しています。主にエアコンなどのホコリがつきやすい部分に使われているものです。材料を開発するにあたっては、その部材がどのような環境で使われるのか、それによってどんな汚れが付着しやすいのかなど、環境に応じた評価方法の策定も行っています。私生活では3児の母でもありまして、仕事と子育ての両立に試行錯誤しながら、毎日なんとかやっています。

横山さん:ありがとうございます。学生のみなさんにも参考になったのではないでしょうか。そこで聞いてみたいのですが、学生のときに考えていた仕事のイメージと現在携わっているお仕事で、大きく違っている部分などはありますか。

原さん:学生時代は、早く社会のことを理解したくて財務や会計の勉強をしていたのですが、理解はできてもまったく実体が伴っていませんでした。それが、働き始めて10年ほど経った頃から、「こういうことだったのか!」と腹落ちできた実感があります。また当時は、社会人というのはある分野を極める専門家になることだと思っていましたが、今の私の働き方は全然違います。でも誰かのお役に立てているならそれもありだな、と感じられるようになったのは、学生時代からの大きな変化といえますね。

福田さん:私は学生の頃、「社会貢献をより実感できる企業に入りたい」というのを就活の軸にしていました。大企業であればあるほど貢献度合いも大きいに違いないと考えていたのですが、実際に働いてみると、その機会はとても身近にあることがわかりました。今は、同僚や先輩後輩に感謝されたとき、お客様に喜んでいただけた瞬間にこそ、社会貢献ができたという手応えとやりがいを感じています。

片岸さん:たしかに、自分が開発に携わった材料がエアコンや換気扇の部材として世の中で使われているのを見ると、社会に貢献できているかもしれないと思えますね。製品カタログに開発した材料の名前が載っていたり、「汚れにくい」というお客様のお声をいただいたりするたびに、自分の研究が実を結んだ喜びを実感しています。

トークテーマ02
仕事に求められることの変化

横山さん:社会状況の変化とともに、仕事を取り巻く状況も急速に変わりつつあります。みなさんがその変化を実感するのはどんなときですか。

福田さん:働き始めた頃と比べると、リモートワークの環境が充実していたり、男性の育児休業が当たり前になったりと、社会全体が大きく変わってきているのを感じますね。また、仕事は与えられるものではなく、自分で生み出すものだという考え方が浸透してきたように思います。

横山さん:三菱電機社内でもそうした風潮はありますか。

福田さん:ありますね。コロナ禍で勉強会を開催できなくなったとき、代わりとしてeラーニングシステムの導入を呼びかけたことがあるんです。結果、その提案は受け入れられ、お客様や商社さんに製品知識を得ていただくための新しい教育システムを構築することができました。
課題や改善策をしっかり提示することで、営業の枠を超えた仕事も任せてもらえるんだと嬉しく思ったのを覚えています。

片岸さん:三菱電機は今いろんな事業に挑戦しようとしていて、新しいことをやらせてもらえる機会も増えています。私自身も現在新規事業プロジェクトに参画して、子育て世代を支援する事業の構想を仲間たちと練っているところです。

横山さん:リモートワークの普及で、育児やお仕事の環境も変わりましたか。

片岸さん:オンライン会議のおかげで、育児と仕事の両立はしやすくなりましたね。社内制度の充実もあって、子育てしながら仕事をすることは特別なことではなく、普通にできることなんだと思えるようになりました。

原さん:オンライン化の影響は大きいですよね。私も、コロナ禍でアフリカとの距離が遠くなるかと思いきや、実はぐっと縮まったのを実感しています。コロナ前は2カ月に1回アフリカに行ってその間だけ活動をしていたのですが、今はいつでも現地とつながっているので、途切れることなく仕事を継続できています。

横山さん:リモートワークで自宅と職場の垣根だけでなく、国境までも超えてしまったというわけですね。たしかに新しい時代の変化を感じます。

原さん:と同時に、今までの常識はもう通用しないと考えるようになりました。不確実性がますます高まる世の中に、「正解」はありません。仕事の進め方にしても、以前は「課題解決」が目的だったのが、今は「課題発見」こそが重要。何が課題なのかを見極めるために、仕事の8割をヒアリングにあてるように心がけています。これも新しい時代に伴った働き方の変化の一つだと思っています。

トークテーマ03
これから社会に必要とされる仕事とは?

横山さん:今は「Society5.0」に向かう時代だといわれています。1.0の狩猟社会、2.0の農耕社会、3.0の工業社会、そして4.0の情報社会の次に来る、超スマート社会です。Society5.0はまた、「人間が中心となる社会」とも呼ばれています。そんなこれからの社会に必要とされるのはどんな仕事だと思われますか。

片岸さん:私は自分が子育てをした経験から、少子化や教育の問題に目を向けるようになりました。少子化といっても原因はさまざまです。多様な要因が絡み合って起こる問題なので、解決策は一つではありません。まずはそれぞれの現場の声を聞くことが重要です。そうして困っている人たちの声を拾い集めていく中で、これから必要とされる仕事が見えてくるのではないでしょうか。

横山さん:昨今の課題は平面ではなく立体といわれます。昔はジグソーパズルの足りないピースを探してつなげれば解決できたけれど、今はルービックキューブのように複雑に入り組んでいます。1面が揃っても残り5面がぐちゃぐちゃだったり、6面全部揃えるために今あるものを組み直したりする必要もあります。その意味では、社会に何が起きているのかを多面的に把握していく視点が大切になってきますね。

福田さん:そのためにも、日常の中で常に疑問をもって、「これはおかしい」とか「こうすれば改善できるんじゃないか」と考えることが重要だと考えています。将来、一部の作業はAIや自動化に取って代わられるともいわれていますが、何かに疑問を抱いたり、それについてみんなで意見を出し合ったりするのは、人間にしかできない仕事です。これからの社会に求められるのは、いろんな人を巻き込みながら課題を見つけ最適解を探っていく、人間としての仕事や能力だと思います。

横山さん:自分の目に見えている範囲だけでなく、できるだけ多くの人に関わる最適解を見つけるというのは、まさにこれから必要とされる仕事のあり方かもしれませんね。

原さん:みなさんのお話を聞いて、大切なのは「エンパシー(Empathy)」だと感じました。相手が発している言葉の裏にはどんな背景があり、いかなる苦労や挫折があってこの発言にたどり着いているのか。そういうところまでを推し量って理解をしようとする力は、AIにはありません。AIは情報や選択肢を与えてくれますが、それを選ぶのは人間だし、責任をとるのも私たちです。AIは責任をとってくれませんから。共に試行錯誤し、苦悩や失敗を共有しながら共創していくためにも、エンパシーというキーワードは重要になってくると思います。

トークテーマ04
仕事と社会のサステナビリティとのつながり

横山さん:最後にみなさんと一緒に考えたいのは、仕事とサステナビリティの関係についてです。現在のお仕事の中で、社会のサステナビリティを意識することはありますか。

片岸さん:汚れにくい部材を開発すれば製品を長く使っていただくことができ、結果的にサステナビリティにつながっているのではないかと考えています。その範囲をもっと広げていくためにも、より多くの汚れに対応するプラスチック材料の開発をしていきたいと思っています。

福田さん:片岸さんのような研究者が開発した技術や工場のメンバーが製造した機器を、1台でも多く売ることが私たち営業の仕事です。営業はついつい目先の数字に囚われがちですが、長い目で見れば、利益を上げることは会社の持続可能性につながりますし、会社全体の仕事を通して社会のサステナビリティにも貢献できると考えています。

横山さん:どんなときにそれを実感されましたか。

福田さん:工場の仲間たちに感謝の言葉をもらったときですね。「福田さんのおかげでこんなに売れた」「頑張って作った甲斐があった」と言われると、あらためて彼らの苦労に思いを馳せることができ、自分の仕事にも一層のやりがいを感じます。もちろん、たくさん売れれば開発や製造のモチベーションも向上するし、私の給料も上がって家族を喜ばせることもできるかもしれません。一見接点がないように見えても、仕事は社会のいろんなところとつながっている。そんな気づきを得られた瞬間でした。

片岸さん:営業の方々の努力にはいつも頭が下がります。売る力も含めて、本当にたくさん人が携わって、みんなで一つの製品や価値をつくりあげているんだと思います。

横山さん:先ほどエンパシーの話も出ましたが、いろんな人の立場から物事を見つめ直すことで、仕事のやりがいや会社の強みも増していくのかもしれませんね。

原さん:その考え方にはすごく共感します。サステナビリティやSDGsって、正直聞き飽きている人も多いと思うんです。最近では「SDGs疲れ」なんていう言葉も見聞きします。でも、みなさんのように身近な仕事や人々に目を向けて、心の底から納得して行動すれば、疲れることなく自然に続けていけるはず。だからあまり難しく考えすぎず、もっと個人レベルに引き寄せて、サステナブルな家族のあり方、職場のあり方を探ってみてはどうでしょうか。それが少しずつ広がることで、社会の持続性は担保されていくのだと思います。

横山さん:アフリカには、「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」ということわざがあります。正解が見えない今の時代、みんなで一緒に答えを見つけていくプロセスこそが大事で、それが長期的成長につながる唯一の道なのかもしれません。この1時間が、みなさまにとって価値ある「共創」のひとときとなれば幸いです。本日はありがとうございました。