イベントレポート

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アニメーション美術の技法で空を描くワークショップを開催

2024年9月7日(土)

夏休みシーズンにMEToA Ginzaが開催した、サステナビリティを楽しく学ぶワークショップ第二弾は、アニメーション作品の背景美術を数多く手がけた渡邊洋一さんに教わる空の描き方です。アニメーション背景美術に用いられるポスターカラー2色を使用して「青空に浮かぶ雲」の描く技法を学びました。雲の種類や空の色の仕組みを知り、周囲をよく観察し環境の違いや変化を意識することで、気候変動や大気汚染、途上国に集まるゴミ問題などの社会課題を楽しみながら考えることができました。

雲の形や種類のレクチャーの後は渡邊さんのデモンストレーションです。アニメーション背景には、描き始める前準備として『水張り』、大まかに全体を塗る『地塗り』、陰影や細部を書き込む『仕上げ』の3工程があります。はじめの水張りでは紙の裏から表の順で水を含ませることで紙が波打つのを防ぎ、次の地塗りでのグラデーションを描きやすくします。
紙に水がなじんだら2色のポスターカラーを混ぜるようにグラデーションを塗っていきます。

グラデーションに雲を描いていきます。雲を塗る前に水気を切った筆で雲の形に絵具を拭き取ってから、雲の光が当たる箇所にホワイトを、陰になる箇所は地色のブルーを重ねていきます。天頂に近い雲や地平線に近い雲を描き加えて完成です。

デモンストレーションのあとは、お待ちかねの実践です。参加者の机を渡邊さんがまわられ、水張りのなじみ具合から絵の具の水分量、雲の影の付け方など一人ひとりの質問に答えたり、アドバイスだけでなく実際に筆を加えてもらった方もいらっしゃいました。

参加してくださった皆さんはそれぞれ思い思いの雲に挑戦されていましたが、中には2枚目に挑戦される方やプロと遜色ない壮大な作品を仕上げられた方も。どなたも楽しそうに描かれていて、満足していただけたように感じました。

参加者の皆さんの作品が乾くのを待つ間、リアリティが求められる背景美術の世界で渡邊さんが実際に取り入れている雲の位置や色の仕組みについて解説いただきました。積乱雲の前景に飛行機雲を描く場合は積乱雲の地上からの距離と飛行機が飛ぶ高度を考慮して配置すること、雲の色は光の三原色や光がどれだけ空気の層を通ったかで変わることなど、渡邊さんが大型天体望遠鏡の設計製造に携わって得た「光学的知見」を交えて分かりやすくお話しいただきました。

ワークショップの最後に、渡邊さんが背景を描き下ろしてくださった「遠隔操作ロボット体験」コーナーを紹介しました。ゴミ山ブースの空だけ色が違う理由について、途上国のゴミ山では銅線や空き缶などの金属を取り出して売るためにゴミを燃やしていて、それによって発生する有毒ガスを含んだ空になり、色が変わるのだそうです。またここでMEToA Ginzaからは、そんな危険なゴミ山で、人に代わりゴミを分別回収する、三菱電機が開発中の遠隔操作ロボットの可能性についてもご紹介しました。

渡邊さんは背景を描く際に、雲の形や風の吹く方向、光が差す方向と影ができる場所をよく考えて想像することがポイントだとおっしゃいます。他にも道端の植物に興味を持って調べ、在来種と外来種の違いを知っていれば描き分けられるようになるのだとか。オフィスの近くを散歩しながらの観察を日常に取り入れていらっしゃる渡邊さんから参加者の方へのアドバイスでした。

このワークショップに参加してくださった方々が気候変動や大気汚染、途上国に集まるゴミ問題などの社会課題について考えるきっかけの一つになれば幸いです。ご参加いただいたみなさまには、あらためて厚くお礼を申し上げます。

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