DRUM TAOと今回のテーマは非常にマッチしていた。(フランコ)
今回、「家電リサイクル」や「循環」がイベント全体のテーマになっています。最初にこのテーマで演奏をすると聞いたときの印象はどうでしたか?
フランコ:DRUM TAOは、和太鼓という日本の伝統楽器を使っていますが、それを今の時流に合ったモダンな表現に使おうとすると、伝統を守ろうとする人には抵抗があるんですよね。しかし、日本の脈々と培われてきたものが、現代の人に受け入れられる形に変えることは、エコであったりリサイクルであると思っています。なので、DRUM TAOが表現していることと、今回のテーマは非常にマッチしていると思いました。

西:わたしのテーマを聞いた第一印象は、TAOとどう結びつくんだろう、でした。普段リサイクルについて真剣に考えることはなかったので。監督の絵コンテを見てから、なるほどこう繋がっていくんだってイメージできました。
映像のなかでは、プラスチックや鉄などの素材を選別していく具体的なリサイクルの工程を表現していくシーンもありますよね。難しくはありませんでしたか?
フランコ:たとえば、鉄・アルミを表現するシーンでは、元々TAOの曲に「キラキラ」をテーマにしたものがあったので、スッとハマったんじゃないかな。
江良:最初に映像のストーリーを聞いたときに、みんなで話をして、このシーンだったらあの曲がいいんじゃないかって共通した意見が出たので、意外とすんなりでしたね。
DRUM TAO パフォーマー 岸野氏(左)、江良氏(右)
ここから新しい世界がひろがっていくのかな、と思った。(西)
清水監督から、演奏にオーダーはありましたか?
岸野:けっこうありました。でも、全体をイメージしていて、正確に言ってもらえるので、監督の判断は信頼できました。ちゃんと言ってくれるから、とてもスムーズでしたね。
江良:僕らも、なるほど監督はこういうのを求めてるんだ、と感じ取ることができました。ここは変えましょうとか、そこは変えなくてもいいかもしれないから1回見てください、みたいに話をしながら進めることができたので、これはいい作品になりそうだなと思いましたね。

映像では、みなさんの演奏にアニメーションが重なるのですが、いかがですか?
西:今までやったことのないことなので、ここから新しい世界がひろがっていくのかな、と思いました。舞台にも映像を取り入れたりしているので、普段の公演にも、応用というか勉強になったところがありますね。
フランコ:TAOは舞台上でのアーティストなので、そこに何かを足すというのはすごく難しいんですよね。今回の清水監督の映像は、ひとつのテーマの中に、TAOとアニメーションがキレイに融合されている。何かと何かをくっつけたというよりも、新しいものが生まれていると思う。今後のTAOの方向性も変えてくれるかもしれないですね。
舞台と映像は、やはり違いますか?
岸野:録音は特に気を使います。舞台はライブなので、お客さんの反応に返す感じなんです。ノってるお客さんには、ノった演奏で返す。それを舞台上では意識してやっている分、録音のときは対象がよくわからなくなるんですよね。だから、失敗すると緊張したような音になる。
西:楽曲も、いろんな曲のなかのポイントをミックスさせて今回用の曲をつくっているので、普通の演奏とは全然違うイメージでやりました。あと、あの64面のビジョンに映るということは、とても意識しました。全身が常に映るわけではないので、顔の表情とか、一部で表現しないといけない。わたし個人でいえば、衣装をひらひらさせる動きが重要でした。笛吹きながらひらひらさせてって言われて、それはできない!って言いましたけど。(笑)
DRUM TAO 座長 西氏
ここに注目してほしい!というシーンはありますか?
フランコ:今回の演出は、非常に変化に富んでいる。たくさんのシーンがあって、見どころは満載なのでどれというのは言いにくいです。でも、TAOのメンバーが、何を思っているか、何を表現しようとしているのかっていうのを感じてもらえたらいいと思いますね。
岸野:やっぱり全員で叩いているシーンは注目してほしいですね。1回目の笛が終わった後の大団円とか、みんなで叩いているときの気持ち良さを感じてほしいです。
これが新しい日本のかっこよさなんだ、と感じてほしい。(江良)
DRUM TAOとして、その一員として、一貫してもっているこだわりはありますか?
岸野:無頓着に同じことを繰り返さない、ということ。少しでも何かを改善して、次に進化させていくことは徹底してやっています。新しい試みはもちろん、今やっていることをどう良くしていくのか。それはリサイクルにも通じると思うんですけど、和太鼓という原始的な楽器を新しくハイブリッドさせて、すごく質の高い大衆芸術を目指したら、みんなが満足できるものになるんじゃないかと思っています。
江良:日本人が忘れかけている連帯感がある、と言われたことがあって。メンバーとは基本ずっと一緒にいるので、演奏するときもちょっとしたアイコンタクトでモチベーションが上がったりするんです。そういう連帯感は、絶対なくしていきたくない。自分たちなりの連帯感を、いろんな人にアピールしていきたい。演奏にしても舞台の質にしても、楽曲にしても、連帯感はものすごくこだわっていきたいですね。
今後もDRUM TAOとして新しいことへの挑戦はありますか?
フランコ:本当は、もっともっとハチャメチャにやりたいんですよ。全く新しいものを表現してますって言っていても、どこかで伝統的なものを引きずっている感じがする。だから、ハチャメチャってことをテーマにして、どれだけのことをやったらハチャメチャになるのかを考えるようになっていますね。
最後にメッセージをお願いします。
江良:初めて僕たちを見る人は、まず和太鼓に目がいくと思うんです。でも注目してほしいのは、太鼓を打つ人たちの演技だったり、かっこよさ。太鼓を打つ人って、伝統のイメージが強いじゃないですか。だから、これが新しい日本のかっこよさなんだ、って感じてもらえるとうれしいです。
西:TAOをまだ知らない方もたくさんいると思うので、なんかおもしろそうとか、この人たち何?って、まず興味を持ってもらいたいですね。数分の映像のなかで、美しさや楽しさ、かっこよさや激しさなど、たくさんのものを感じ取ってもらえると思います。興味をもって舞台にも来てくれたらなおさらうれしいですね。(笑)