METoA Ginzaは、三菱電機グループの様々なテクノロジーやアイデアの展示を通じて、サステナブルな社会を共に考え、実践していく共創の場です。私たちが大切にしているのは、ご来場者のお声に耳を傾けること。そこで、みなさんと直接対話させていただくための新企画として、「METoA Ginza Meet-up」をスタートしました。第1回のテーマは、「プラスチックリサイクル」。会場では、映画鑑賞やイベント体験をお楽しみいただいたあと、熱いディスカッションが繰り広げられました。その模様をお届けします。
会場を圧倒したドキュメンタリー映画『プラスチックの海』
本イベントの特別企画として、巨大ビジョンでは映画『プラスチックの海』の鑑賞会が行われました。この作品は、2016年に公開されて以来、世界70カ国以上で絶賛されたドキュメンタリー映画。世界中の海洋プラスチック問題への関心を高めるきっかけとなった話題作です。イベントでは、国連本部でもプレミア上映された、22分の短縮版(本編は100分)が用意されました。
「海洋プラスチック問題は、決して他人事ではありません。自然界に流出したプラスチックは、回り回って人間の体内にも入り込んでいます。ある研究によると、私たち一人ひとりが食べ物や飲みものから取り込むプラスチック量は、1週間でクレジットカード1枚分にも上るそうです」と、関根さんは解説します。「この問題をジブンゴトとして向き合うために、①私ならどうするか、②企業には何ができるか、③社会はどう変わるべきか、の3点を考えながらご鑑賞ください」
美しい海を悠々と泳ぐシロナガスクジラの映像から始まるストーリーは、やがてプラスチックごみが海洋に与える深刻な問題の探究へと展開。壮大な映像美と、そこに潜む“真実”の怖さに、会場も圧倒された様子です。しばらく沈黙が続いたあと、最後は盛大な拍手に包まれて上映会は終了しました。
「リサイクルDISCO」でプラリサイクルのしくみを体験!
映画鑑賞に続いて、現在METoA Ginzaで開催中のイベント「リサイクルDISCO」をみなさんにご体験いただきました。
メインアトラクションは、2Fの企画展示「リサイクルDISCO リサイクルも、ターンテーブルも、まわせばハッピー!」。先ほどの上映会場から一転、ダンスフロアに生まれ変わった巨大ビジョンで、プラスチックの分別、選別から再生までのミッションに挑戦します。
生活に身近なアイテムの中から、再生できるプラスチック製品をピックアップ。選んだアイテムはタブレットに登録され、画面上でフレーク状に粉砕されます。
ステージ上ではダンスやゲームを楽しみながら、プラスチックの選別を体験。いろいろなプラスチックが混ざったフレークを3種の素材により分け、新たな製品を生み出します。
3Fでは、プラスチックリサイクル工場を舞台に、プラ素材を選別する3つの技術とノウハウをより詳しく学びます。
プラスチックを再生するためには、素材を正しく選別する必要があります。三菱電機では、「比重選別」「静電選別」「X線選別」の3つの選別技術により、プラスチックを原料に戻していることを解説します。
ターンテーブルやクロスフェーダーを使って体験する「静電選別」のミッション。複雑なオペレーションに挑むみなさんからは、「むずかしい!でも面白い!」という声も聞こえてきます。
現在は、家電の内部や裏側など見えないところに使われている再生プラスチック。これをデザイン面にあしらった、エアコンやクリーナーのコンセプトモデルの展示も注目を集めていました。
リサイクル工場では、展示に関する理解度をチェックするクイズゲームも用意。ここでの正答率やゲームの戦績を反映した認定証がもらえます。さて、みなさんの結果は……?
3Fでは、「そだてるタウン」で大好評の「空飛ぶクルマ体験コーナー」も展示中。参加者のみなさんも興味津々で試乗、東京上空のバーチャルドライブを楽しまれていました。
参加者同士が本音トーク! カフェでの交流会の模様
2F、3Fでイベントをお楽しみいただいたあとは、1FのMEToA Cafe & Kitchenへと移動。この日の体験を踏まえて、プラスチック問題を解決するために何ができるのかをグループに分かれて話し合っていただきました。
ディスカッションに入る前に、まずはMEToAコミュニティパートナーのお二人にも、映画やイベントの感想をうかがってみました。
映画『プラスチックの海』でエバンズさんが注目したのは、海洋プラスチックごみの出所。「年間800万トンともいわれる海洋プラスチックごみの8割は、海にポイ捨てしたものではなく、街から流れているもの。私たちがどれだけ使い捨てプラスチックを消費しているかを自覚し、暮らしを見直していくことが大切です」
一方、関根さんも「使い捨てが問題」だと指摘し、プラスチック包装を禁止する海外の事例を紹介。「映画やイベントでも取り上げられたように、プラスチックをリサイクルすることは大切です。でも実際にリサイクルできているのは、全体の約10%に過ぎません。残りの90%は地中に埋められ、あるいは海に流出しているのです」
METoA Ginzaでは、このプラスチックリサイクル率を上げるためにも、「リサイクルDISCO」イベントなどを通じた啓蒙活動を推進。エバンズさんはそこに感銘を受けたといいます。「私たちが分別したプラスチックはどこへ運ばれ、どう再生されていくのか。これまで知らなかったプラスチックリサイクルの実際を体験することで、この問題を考えるヒントが見えてきたのではないでしょうか」
身近なギモンや今日感じたことを「VOICE」で発信
ディスカッションは、A~Eの5つのグループに分かれて行われました。進行は三菱電機グループ社員が務めるものの、トークの主役は参加者のみなさんです。エバンズさんや関根さんには、各テーブルを回りながら議論に参加していただきました。
最初のお題は、身近なギモンを「VOICE」に書き出してみること。VOICEとは、METoA Ginza公式サイトで公開中のトーク番組「from VOICE」のテーマにつながる小さなつぶやきです。
ちなみにエバンズさんのVOICEは、「複合素材はリサイクルがむずかしい。単一素材でも機能性やデザイン性の高い靴やバッグは作れないのかな」というもの。関根さんには、「自然界の循環にはごみが存在しません。自然に学ぶものづくり(バイオミミクリー)を教育シーンから考えたい」というVOICEを披露していただきました。
グループで議論した内容を発表、みんなで共有!
次いで、『プラスチックの海』や「リサイクルDISCO」体験の感想などを語り合ううちに、ディスカッションも盛り上がりを見せます。なかでももっとも熱心に議論されたのは、リサイクルやごみ処理について自分がとりたいアクション、三菱電機や企業に何を期待するか、といったテーマです。
1時間にも及ぶ熱いディスカッションでは、どのような意見が飛び交ったのでしょうか。その内容を各グループの代表者に発表していただきました。
「めちゃくちゃパッションのある人たちが集まりました」というメンバー紹介から始まったのは、グループA。環境活動に携わる方も多いというこのグループが出した結論は、「個人でできることは限られているので、大企業にこそ思い切った活動をしてもらいたい」というもの。「企業が先頭を切って走れば、社会も大きく動き、消費者も自然と変わっていくはずです。だから企業の方には環境やサステナブルに振り切った経営をしてほしいですね」
ママが多く参加したグループBでは、お子さんたちが積極的にごみ拾いをしている様子を紹介。「子どもたちを見習って、自分たちももっと社会に貢献しなければいけないと反省しました。今日の映画やイベントで体験したプラスチック問題や、プラスチックリサイクルの取り組みをもっと広めていくことで、環境に負荷をかけず、私たちも暮らしやすくなる社会を目指したいと思います」
グループCでは、メンバーそれぞれの提言を紹介。「僕らがいつも出しているごみが最終的にどうなっているのか、これを機に調べてみようという提案がありました。また、エコバッグやマイボトルの活用も大事だけど、作りすぎて余るのは本末転倒だという意見も」。さらに、「壊れたら新しいものを買う」という文化にも警鐘を鳴らします。「例えばEVや太陽光パネルを買うときに補助金が出るように、修理を促すアクションにも力を入れてほしい。いいものを長く大切に使ってもらえるようなものづくり姿勢は、企業のブランディングにもつながると思います」
「大切なのはやはり教育」というのは、グループD。それには「企業が率先して発信していくことが重要」だと提案します。「ディスカッションで印象的だったのは、むずかしい問題に正面から向き合えたこと。例えば、最終的にプラスチックがどういう状況になったら世界はよくなるんだろうとか、分別やリサイクルで本当に海洋プラスチック問題は解決するのか、いっそプラスチックがこの世からなくなったほうがいいんじゃないか、とか。解決には至りませんでしたが、ざっくばらんに本音で議論できたのはよかったです」
プラスチックリサイクルの最前線で活躍するメンバーが加わったグループE。おかげで正しい情報のもとに議論することができたようです。「社会に足りないのは、この情報です。ふわっとした知識だけでは、問題解決に向けた行動もとりようがありません。企業の方にはもっと情報を共有していただきたいなと思います。また、これまでプラスチック問題は個人でどうにかできるものじゃないと思い込んでいましたが、今日の体験を通じて考えを改めました」
個人でも企業でも、一人ひとりの行動が未来を変えていく
みなさんの提言を聞きながら、大きくうなずいていたエバンズさんと関根さん。本日のまとめとして、METoAコミュニティパートナーのお二人にもご意見をうかがいました。
「みなさん、とてもポジティブな議論をされていたのが印象的でした」とエバンズさん。「プラスチック問題解決のためには、消費者でできること、企業にしかできないこともあります。でも社会を構成しているのは私たち一人ひとりであり、企業もまた個人の集合体です。企業による環境活動と同時に、社員のみなさんがそれぞれの日常生活の中でアクションを起こしていくことが、社会全体の変革につながるのだと思います」
開口一番、「みなさんの熱気に感動しました」と賞賛するのは関根さんです。「熱い人たちが集まると、こんなに燃えるのかと(笑)。これからの未来をつくるのは僕たち一人ひとりです。だれもが何かを買う側であり、作る、届ける側にもなり得ます。生活者と企業、それぞれの視点から、これからの社会を一緒によりよくするために行動していきましょう。過去は変えられなくても、未来は変えられるのですから」
3時間近くにわたるイベントもそろそろ終了。参加された方々には、心ばかりのおみやげを進呈させていただきました。その中には、関根さんがこの日のために用意してくださったカラフルなチャームも。ビーチクリーン活動で子どもたちが拾い集めたプラスチックごみから作った、福岡のNPO法人「くらげれんごう」の作品です。体験の記念にと、みなさんにも喜んでお持ち帰りいただきました。
最後にみなさんで記念撮影! たくさんの素敵な笑顔に包まれて、第1回「METoA Ginza Meet-up」は幕を閉じました。ご来場いただいたみなさん、本当にありがとうございました。
「METoA Ginza Meet-up」は、これからも不定期に開催していく予定です。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
最後に、「Meet-up」にご来場のみなさまのお声をご紹介します
会場では、ご来場のみなさまにアンケートを実施いたしました。「力強いメッセージに勇気づけられた」「リアルな意見が参考になった」「失敗を恐れず取り組んでいきたい」などたくさんのご回答、「とても満足」との高評価をいただいております。ここでは、いくつかを抜粋してご紹介しましょう。
【質問1】METoA Ginza Meet-upに参加されたご感想をお聞かせください。
プラスチック問題について、課題の深刻さを知ることができたとともに、自分にも関係がある問題なんだなと改めて認識が変わりました。
(20代 学生 女性)
いつもは交流しないタイプの方々と熱く話し合えたので、とても満足です。
(20代 フリーランス 女性)
「リサイクル」という見知ったテーマでありながら、まだまだ知らないことを知ることができ勉強になりました。
(20代 学生 男性)
「プラスチック・リサイクル」について企業の取り組みを詳しく知ることができる良い機会でした。
(20代 会社員 女性)
映画を観れたことや、亜莉沙さんと関根さんのお話を聞けたこと。ディスカッションで三菱電機さんのお話を聞け、伝えられたことがよかったです。
(30代 会社員 女性)
ディスカッションをして新しいアイデアを考えるスイッチが入り楽しかった。
(50代 会社員 女性)
【質問2】Meet-upを体験してどのような気付きがありましたか
それぞれ(ひとりひとり)の立場や環境で見えること、見えないことが、全然違う。だからこそ、共有する、対話する機会に価値があると思いました。
(30代 自営業 女性)
プラスチックが当たり前に使い捨てられる環境だったので、何も考えられていなかったということに気づけた。
(20代 学生 女性)
知識が深まったことで行動も変わる。知るということの大切さを改めて感じました。
(30代 自営業 男性)
リサイクルに関しての理解がまだ不十分であると気づきました。
(30代 会社員 男性)
個人によって視点が全然違うということ。集まることには大きな意味がありますね。
(40代 自営業 男性)
同じことに関心を持って集まってくる人たち同士は、初対面でもパワフルな会話になると思いました。
(60代 自営業 女性)
【質問3】プラスチック技術に期待することはありますか?
生分解性プラスチック材料を用いるとともに、それをコンポストできる設備をスーパーとかコンビニに備え付けてほしい。
(20代 学生 女性)
技術自体ではないかもしれませんが、それが普及すること、そしてそのことを広げていく、ということができればと思いました。
(20代 会社員 女性)
この技術がある程度一般化されて、家庭や企業、学校などの単位でリサイクルできる技術の開発。
(20代 学生 男性)
全国、全世界に普及し、プラスチックリサイクル率が高くなることを期待しています。
(20代 会社員 女性)
なんでも材料を問わずリサイクルできる技術があればうれしいです。
(30代 会社員 男性)
プラスチックリサイクルがあたりまえの世界、日常、生活になること、取り入れられること、選択できること。
(30代 会社員 女性)
ご参加いただいた方には、あらためて御礼申し上げます。
Meet-upの模様は、METoA Ginza公式Youtubeチャンネルでもご覧いただけます。ぜひお楽しみください。