インタビュー / METAPHOR(メタファー)

インタビュー

1F | METoA 1:Connect&Flow

METAPHOR(メタファー)おもてなしをする、
デジタルオブジェができるまで

METoA1・1Fのインフォメーション前に現れた、たくさんのタブレットで構成された不思議なオブジェ。そばに近づいてみると、時間帯や天候に合わせたアナウンスでおもてなしをしてくれます。今回は、このデジタルオブジェを手がけたMETAPHORさんに、開発時のエピソードや作り手のこだわりをお聞きしました。

metaphor

METAPHOR(メタファー)

WEB制作を中心に、iPhoneアプリ、デジタルサイネージ、インターフェイスデザイン、映像、グラフィック、インスタレーションなど、デジタルメディア領域での制作や開発を手がけるクリエイティブ集団。

METAPHOR Inc.

デジタルでロジカルだからこそ、有機的なオブジェにしたい。

今回の作品の特徴を教えてください。

まずは、全体コンセプトの「心までつたえる、先進コミュニケーション」というお題に対して、このオブジェはその象徴となる存在だと考えています。現代のコミュニケーションに欠かせないタブレットを使ったこの作品は、絶えず変化し続ける動的なオブジェです。53台あるタブレットが連動して、一体感のある色彩の変化を見せながらインタラクティブな仕掛けでお客様をお迎えします。

どんなところに気をつけて開発をしたのですか?

デジタルアートの分野は、どうしてもロジカルに構築するものなので冷たい印象になりがちなんです。それがクールでカッコイイという判断もあるのですが、今回は「心までつたわる」というコンセプトがあったことと、デジタルなものに触れない方も目にする場所での展示ということもあったので、少しでも有機的な仕上がりになるよう心がけました。その結果、タブレットの画面はグラデーションの色彩が変化する仕様にし、オブジェ全体も曲線的なシルエットにしました。

また、天気、気温、時間などを定期的にインターネットから取得して、その都度最適なアナウンスを発信しているのですが、この仕掛けも、お客様に寄り添ったオブジェにするためにこだわったポイントです。

インタラクティブであり、美しく目立つことをテーマに。

特にこだわった部分はどんなところですか?

まず、大量の端末を同時に無線で動かすとき、俗にパケットロスと言うのですが、どうしても特定の端末にだけ届かない現象が起きます。1秒でも反応が遅いと、もっさりとした印象になってしまうので、「人に反応して何かリアクションする」というスピードを担保できるように、レスポンスの早い通信の仕組みにこだわりました。あとは、4ヶ月という長期間の運用を考えたとき、常駐されるスタッフの方に迷惑をかけないオブジェにしたいという想いもあって、メンテナンスの負担を軽減するつくりこみを施しています。

初めて挑戦したことや苦労したことなどを教えてください。

53台のタブレットをWi-Fiで通信することは、私たちにとってもチャレンジングでした。 特に大変だったのは、やはり実際の設営ですね。カフェの営業時間外の深夜から朝方にかけて、とにかくコツコツと手作りしていく感じで思いのほか時間がかかりました。オブジェ化する前段階の、アプリケーションをすべてのタブレットに入れる作業や、自動起動・自動終了といった設定を全ての端末で確実にすることに注意を払いながら進めていきました。結局、10日間くらいかけて完成したと思います。

どんなふうに楽しんでもらいたいですか?

オープンしている間、絶えずタブレットの色面が変化しているので、館内だけでなく、外を歩いている人たちにも認識されるような、美しくて目立つ存在になることを目指しています。現場の確認をしていたとき、通りかかる小学生が足を止めてくれたときは、とても嬉しかったです。あとは、来場者に対しておもてなしをするオブジェなので、その機能が喜ばれるといいなと思っています。

METoA Ginzaは、三菱電機の尖った部分が見れる場所。

三菱電機と関わる前と後で、何か印象の変化はありますか?

三菱電機はメーカーとしても歴史があるので、伝統があって堅実なイメージを持っていたんですが、METoA Ginzaのプロジェクトで関わるようになってからは、けっこう尖った部分があることを知りましたし、新しいチャレンジにも積極的なことがわかりました。なので、企業としての懐の深さを強く感じています。

今後、チャレンジしていきたいことを教えてください。

これは、METoA Ginzaでの展示を通じても感じていることなんですが、メーカーが進めている最先端の研究って、どれもすごく面白いなぁと思うんです。一方で、その研究の早い段階からコミットできたら楽しいだろうなぁという思いもあります。メーカーさんの技術の強みを最大化するお手伝いができる気がしているので、そういった協業プロジェクトのようなオファーには積極的にチャレンジしていきたいです。