あくまでも人と人とのつながり、
という考え方にすごく共感した。(西川)
今回は「先進コミュニケーション技術」がテーマになっています。最初にこのテーマで制作すると聞いたときの印象はいかがでしたか?
Noizdavi:最初にコミュニケーションと聞いて浮かんだのは「挨拶」でした。目があったら笑顔になるような、日常の基本的なコミュニケーションを企画にも入れていきたいと思いましたね。
西川:コンセプトにある、心までつたえるコミュニケーションというのもそうですが、技術開発やテクノロジーも、あくまでも大事なのは人と人とのつながりなんだ、という考え方にすごく共感できました。
Noizdavi:技術に対して思ったのは、すごいな、もうここまで来てるのかって。
佐川:そうですね、こんな技術あるんだって驚いて。未来が近くなっているなと感じました。
実際の制作はどのように進んでいったのですか?
西川:Noizdaviさんから、アバターで未来都市を体験するというコンセプトが上がってきて、それならどういう世界で、どんな動きがあったらいいかを演出として考えていきました。壁一面に広がる64面のディスプレイなので、場の延長、みたいな感覚になる演出ができるといいなと思いました。
佐川:僕の担当は、実際に街の絵を描いていくことだったので、こんな建物が良いんじゃないかとか、いま僕らが目指す未来の街をイメージしながら描いていきました。演出に関しては3人でも頻繁に話し合って、どのくらいのサイズで描き起こせば良いビジュアルになるのか試行錯誤の連続でした。
西川:落としどころは、人と人、というところ。日本のおもてなし文化も、気持ちが込もっているコミュニケーションだと思うので、心がつたわる感じを出したかった。
アバターの自分を追いかけていると、
たくさんのシャッターチャンスがある。(佐川)
今回はアバター体験が非常に特徴的ですが、アバターについてはいかがでしたか?
Noizdavi:現実と地続きになっているような世界観なので、なるべく自分と同じようなサイズ、等身大に近くしようと思っていました。ただ、違和感なく追うことができて写真が撮れるように、サイズ感にはこだわりました。3人でメジャーを使って、このくらいの大きさかな?みたいなシミュレーションをよくしました。
佐川:アバターをPC上で見ると超ちっちゃくて、豆みたいなんですよ。でも、現場で見るとものすごい大きさになる。何回も画面に映して動かしたり、けっこう大変でしたね。
アバター体験を、どのように楽しんでほしいですか?
Noizdavi:アバターになるには顔写真を撮って着せ替えるんですが、性別や格好も選べるので、自分のアバターを違和感ある姿に変えてもおもしろいと思います。映像の中に入ったら、動いていくアバターを追いかけてほしいですね。
佐川:1人でも楽しめると思うけど、複数人だとより楽しいと思います。
Noizdavi:1回いなくなっても少し時間が経つと、もう一度街の中に現れるんですよ。友だち同士でどこにいるのかを探しあってほしいですね。
佐川:夜のシーンもおすすめです。花火があがったり、他にもシャッターチャンスがたくさんあるので、楽しめると思います。
「没入感」は、最初から強く意識していた。(Noizdavi)
他に注目してほしいところはどんなところですか?
佐川:未来ならこうなっているかもしれない、という部分ですね。リアリティと抽象表現の間を描いているものは、あんまり例が無いんじゃないかと思います。架空世界を描くのは楽しくもあり、本当にこれでいいのかなって思うこともありました。東京というイメージは僕らの中にありました。
西川:METoAを訪れる人が、外で見てきた現在の街と、METoAで見る未来の街とで、コントラストが出たらいいなと思っています。街の細かいところとかも見てほしいですね。ミラーボールが浮いてたりします(笑)。
佐川:ミラーボールが浮いてるのは、個人的にすごい好きです(笑)。
今回、いちばんチャレンジだったのはどんなところでしたか?
Noizdavi:画面がとても大きいので、作り方から何からチャレンジしっぱなしでしたね。ただ、なるべく没入感があるようにっていうのを、最初から強く意識していました。
佐川:僕は自分なりに未来像を考えて街を構成するのは、かなりチャレンジでした。今まで、抽象的な絵が作品として多くて、街を描くってことをしたことがなくて。
Noizdavi:そういえば、いちばんチャレンジングなとこはそこですね。街を描いたことがなかった。
西川:伝統的な描き方だと、街を斜め上から見る斜俯瞰の視点が多いのですが、今回は自分たちと同じ視点で街を表現してるので、チャレンジングで、難しかったところですね。
METoA Ginzaという場所は、どういう印象でしたか?
西川:テクノロジーとアートが結びついている常設の場所って、他にあまりないと思うので、銀座っていう良い場所にあるのはすごくおもしろい。作り手からしても、いろんなことができそうでワクワクします。
佐川:普通の展示場は、よっぽど興味がない限り行かないと思うんですよね。でも、銀座にあってしかも無料なので、いろんな人がいろんな技術にふれられるチャンスがあるのは、この場所ならではですよね。
Noizdavi:旅行客や海外の人たちの目に触れる場所で、自分たちのつくったものがあんなに大きく展示できるというのはすごく光栄だと思います。ただ絵を見てほしいというより、未来の技術を人に伝える場所として、METoAは良いコンテンツになっているので、その手伝いができてうれしいという感じが強いです。
体験してもらうのが、いちばん伝わると思う。(西川)
今後、新しく挑戦していきたいことはありますか?
Noizdavi:自分たちの絵がちゃんと広告として機能しているとか、人のためになるようなものを描いていきたいです。だからジャンルは問わず、いろんなものに絵に取り入れていきたいですね。
佐川:絵は、一方通行になりがちなので、どうだ見てくれ、で終わらないようにしたい。絵を通してコミュニケーションがとれるとか、見た人に楽しんでもらえるとか。幅広く見つめて表現できたらいいなと思っています。
西川:今は、従来の形に囚われない、VRやプロジェクションがあるので、可能性が広がっています。僕は、その枠を超えたチャレンジをいろいろやっていきたいなと思います。
最後にメッセージをお願いします。
西川:技術の魅力は、やっぱり体験してもらうのがいちばん伝わるのかなと思うので、この世界に入って体験してほしいですね。
Noizdavi:見応えはあると思います。未来の世界に入れる一枚の長い絵、というものは日本でここにしかないものなので、ぜひ体験しに来てほしいです。