インタビュー / クリエイティブラボ LENS

インタビュー

3F | METoA 3:SAFE CAR CONNECTION

クリエイティブラボ LENS「SAFE CAR CONNECTION」の裏側を覗いてみよう!

前回の「Re-Birth in Ginza」では、“家電リサイクル”をテーマに、初のアニメーション作品に挑戦したLENSのお二人。今回は“車が障害物や他の車とぶつからずに安全に走行する”という三菱電機の独自技術をテーマに作品を制作。そのメイキングエピソードをお聞きしました。

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LENS

インタラクションアーティスト岡田憲一と空間デザイナー冷水久仁江により2014年に結成。数値化することが難しい「手触り感」や「楽しさ」などの感覚を、インタラクティブな装置、空間、映像など、さまざまなメディアを通して表現し研究するクリエイティブラボ。

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作品の主役は、「回避する」という技術。

今回の作品「SAFE CAR CONNECTION」の特徴はどこですか?

設定は、自動車が行き来する仮想の街。ディスプレイの中で、車同士がぶつからずに秩序を保って自動車が走っているんですが、障害物となる物体を画面上に置くことで、その物体を認識して自動車がよける様子を体験してもらうインスタレーションになっています。障害物となる物体には反射板がついていて、それを察知する特殊なカメラによって物体を認識し、映像が連動するような構造です。自動車の走行を邪魔すると、自動車がそれを回避する。そんな反応を楽しんでもらえる作品です。

今回の「車が障害物や他の車とぶつからずに安全に走行する」というテーマを、どのように捉えて創作していったのですか?

正直なところ、三菱電機が自動運転技術や車載機器を取り扱っていることをあまり知らなくて…。最初、技術説明を聞いたときはすこし意外でした。そこでお聞きした技術は、近い将来きっと車社会に貢献するものだと感じたので、今回はなるべくインテリジェントなところが伝わる作品にしようと思いました。車が準天頂衛星の信号を受信しながら位置関係を見ていることや、センサーや通信技術で車同士がぶつからずに走行していること、障害物を認識して回避するといったテクノロジーの部分を、体験的にわかるような仕掛けにしたかったので、自然と今回のようなスタイルになりました。

表現上のこだわりを教えてください。

なるべく技術を主役にしたいと考えていたので、やっぱり「障害物を回避する」ところが見せどころになります。ただし、「どんなアクションで回避するか」というところは、試行錯誤しました。運転手がハンドルを切ってよけているのではなく、あくまでも自動車がテクノロジーによって物体を回避する動き。それが今回いちばんこだわった部分ですね。自動運転で走る車が障害物を認識したときに、どんなふうに減速して、どんなふうに物体をよけると良いのか。自動運転そのものに、無機質なイメージもあると思うので「やさしさ」「愛らしさ」「おもてなし」を感じる動きがあると作品としてグッと良くなると思いながら開発していきました。

あとは、“リアルだけどちょっとファンタジー” な世界観で仕上げることを意識しました。主役となる技術はしっかり伝えたいのですが、お客さんに楽しんでもらうために、作品全体には面白みをプラスしました。注意深く見ると隅っこで面白いことをしている人がいたり、意外な展開があったりする “脇役”の部分に、LENSらしさを盛り込んでいます。

METoA Ginzaは、作家とメーカーがコラボするユニークな場所。

どんなふうに楽しんでもらいたいですか?

真面目に技術を学ぶ展示というよりも、楽しみながら技術を知るような体験を提供したいと考えているので、障害物を置いたら車がよけていく様子を、見て、触って、動かして楽しんでほしいです。あとは、至るところに散りばめた“遊び”にも気づいてもらえると嬉しいですね。

METoA Ginzaでは2回目の展示ですが、1回目の展示で感じたことや2回目に活かされていることがあれば教えてください。

前回の「カイタイノセカイ」で、初めてMEToA Ginzaで展示してみて気づいたのは、この場所が、東急プラザ銀座内にあるということで、美術館とは違って作品に興味なく訪れる人が多いということ。なので「さわると何か起こりますよ」というインフォメーションなどは、わかりやすく示す必要があると感じました。

毎回いろんな作家さんと三菱電機の技術がコラボするこの空間は、とてもユニークで新鮮だと思います。自分たちの作品を見てほしい気持ちも大きいですが、作品を通じてMEToA Ginzaという面白い場所があることを知ってもらえればいいですね。

これから取り組みたいプロジェクトがあれば教えてください。

LENSのコンセプトが「大人も子どもに戻って楽しめる」なので、引き続きいろんなメディアを使ってモノづくりをしていきたいと思っています。あとは、今まで子ども向けのワークショップをよくやっていたんですが、いざ自分たちに子どもができると、なかなかできなくて…(笑)。少しもったいないと感じているので、そういった活動も具体的に動かしていきたいですね。