METoA 3 (3F) exUI(エクスユーアイ)

「明治大学 渡邊研究室 × 三菱電機」特別座談会

明治大学×三菱電機の共同研究が拓く楽しく
⼼地よい未来の共⽣社会

オープンイノベーションが開発を加速する

さて、ここからは展示の話から少し離れまして、企業と大学が共同研究を行うことの意義についてお聞かせください。

飯澤

渡邊先生の研究室は、exUIというロングスパンのビジョンに取り組みながら、非常に短いスパンでプロトタイピングを行っています。我々もMEToA Ginzaでの今回の展示のように、未来を見据えたビジョンを描いていますが、企業にいると年間スケジュールに従っていろいろなモノを開発しているので、渡邊研究室のようにクイックな対応が難しいのです。その点、短いスパンの開発でビジョンを具現化してくれる渡邊研究室との共同研究はとても意義があります。また、exUIのような大きなビジョンを推進していくには共同研究のようなオープンイノベーションが非常に有益だと考えています。
もう一つは、企業の中にいるとシーズ指向とかニーズ指向、またはプロダクトアウトとかマーケットインという言葉に縛られがちですが、渡邊研究室との共同開発では、昔の考え方では生み出せなかったものを得られることに意義を感じています。我々も新しい考え方、やり方を取り入れて、これからの世の中に貢献できればと思っています。

渡邊

逆に、大学にいると企業のようにニーズやマーケットのイメージを持ちにくいので、実際に製品やサービスを作り出している企業のモノづくりは参考になります。社会の持っている課題を企業から教えてもらい、そこから刺激や着想を得て、新しいモノの作り方を模索することができます。

今回の展示で共同研究は一区切りを迎えたわけですが、渡邊研究室は、今後どのように研究を進めていこうとお考えですか?

渡邊

exUIの共同研究を行って思ったことは、モノづくりの中心が今までのハードウェアからソフトウェアに移ってきたことです。研究室としてはexUIを軸にして日本のモノづくり企業に向けてソフトウェア中心のモノづくりのあり方を発信していきたいと考えています。

例えば、今回の展示の一つ「AnoHako」は自動販売機からボタンやディスプレイを無くして白い箱にしたわけですけど、そうすることによってスマートフォンのソフトウェア側の変更で、自販機がATMになったり、災害時に一人1本飲み物を自由に取り出せる緊急配給システムになったりするわけです。他にも、一人ひとりに最適化させたメニューを用意することも可能になります。子どもにはアルコール飲料が表示されないとか、カロリー制限している人には無糖の飲料だけ表示させるとか。商品サンプルも不要なので景観を損ねることなく設置できたり、車椅子の方も手元のスマートフォンで簡単に操作・購入できるようになります。

つまり、exUIによってハードの定義を一度切り崩して、新しい使い方、価値を提案できます。そう考えるとIoTの本当の使い方が見えてきます。研究室として、そういった新しい使い方をもっと世の中に示していかなくてはいけないと思っています。

飯澤

今まで機械を中心にモノづくりを行ってきたメーカーとしては耳の痛いお話ですね(笑)。我々も技術のトレンドに合わせて、例えば画面をカラー液晶にしたり、それを高画質化したり、さらにタッチパネル式にしたりとコストをかけて開発してきたわけです。それがexUIによって、製品側は思いっきりシンプルなものに戻すことができる。それによって製品の新しい提案をしていけるようになります。ハードからボタンがなくなることが、使いやすさを削ることではなく、さらにその先の使いやすさや快適さを提供していけると考えています。

渡邊

発想の切り替えが必要な時期ですね。我々のようにテクノロジー系の研究をしていると、人間に冷たいことをやっていると思われるのですが、実は一般の人よりも人間のことを大切にしています(笑)。我々はコンピュータをいかに人間にフレンドリーにしようかと日夜考えているんですよ。今回のMEToA Ginzaの展示は、プロダクトが人間に寄り添っていくフレンドリーな感じがしてよかったですね。

吉田

exUIの概念をもって作られたプロダクトがどのように使われるのか。そのデータを分析することで、もっと使いやすいインターフェイスの開発や、使う人に合わせたメニューに改善していくことができます。これは非常に価値があることで、三菱電機が目指している、安心・使いやすさの先にある「楽しさ、心地よさ」を実現するための大きなヒントになると思います。また、先ほどのハードからソフト、モノからサービスにビジネスモデルをどう転換していくかというお話は、メーカーとしては難しいところではありますが、そういったビジネスモデルの転換も含めてexUIの考えを取り入れていけたらいいなと思います。

METoA Ginzaは、未来をプレゼンテーションできるスペース

最後にMEToA Ginzaのご感想をお聞かせください。

渡邊

社会に対して様々なことをアピールできるスペースがあるのは、とても素晴らしいことですね。METoA Ginzaでの展示のお話をいただいて、研修室のメンバーに伝えたときもみんな大盛り上がりでした。

金子

普通、共同研究の成果って学会に出すか、企業だけに対してプレゼンテーションすることがほとんどなんです。でも、今回は銀座の真ん中にあるスペースで展示することができ、たくさんの人に見てもらうことができるということでモチベーションがすごく上がりました。

中里

一般の人に見てもらうということで、どう伝えるか、どう操作しやすくするかという部分は苦労したところですが、やりがいもありました。

高田

今まで経験したことがないことができました。三菱電機について知らなかったことをいろいろ知れたのも収穫でした。実は人工衛星まで作っているとは知りませんでした(笑)。

渡邊

実は昔からスマートフォンで制御する考え方・方法みたいなものはあったんです。でも、それを「ユーザーインターフェイスを外に置くもの」と定義し、exUIと名付けることで伝わり方がまったく違ってきました。今、IoTが普及化しだし、exUIの考え方が反映された新しいプロダクトがどんどん生まれてこようとしています。これからの時代に三菱電機が作り出していくモノも、単なる家電とかではなく、新しい名前が必要になってくるかもしれない。これからもMEToA Ginzaのような発表の場を活用して、様々な未来をプレゼンテーションしていきたいですね。

本日は、ありがとうございました。