物ごとの見方を一変させる、
坂口 マジック
6月10・11日の2日間にわたって開催した、書道パフォーマンスイベント「書」と「環境」。一見堅苦しく思われそうな2つのテーマを、あっと驚くパフォーマンスで、たちまち素敵なエンターテインメントに変えたのは、書家・詩人、坂口赤道さん。日本に留まらず、世界に「書の楽しさと感動」を伝え広めている注目のアーティストです。3F・METoA 3に設けられた会場には、たくさんのお客様にお集まりいただきました。「どんな物ごとも、違う側面から捉えれば素晴らしい一面が見えてくる」というのが、坂口さんの信条。この日は、独創的な視点で「リサイクル」というお題に挑戦いただきました。
「字はきれいに書くことよりも、伝えることが大切。今日は書を通して、みなさんに『夢』と『愛』をお届けしたいと思います」と坂口さん。まずは「夢」という文字をしたためます。独特の美しい書体に、さっそく会場からは大きな拍手が。でも、これはまだ序の口です。次に、和紙を横にして「きぼう」の3文字を少し変わった配置で書き入れます。その紙を縦にすると、なんと「夢」という文字に変身。会場には驚嘆の声と、さらに大きな拍手が響き渡ります。「希望はすなわち夢になるのです」
筆の二刀流・三刀流に鏡文字。
華麗なパフォーマンスで会場を魅了
続いて坂口さんが披露するのは、「筆の二刀流」。2本の筆を左右の手に持ち、一画ずつリズミカルに穂先を走らせます。書き上がった和紙を裏返しにすると、「百花繚乱」。二刀流で、なおかつ「鏡文字」だったというわけです。さらに、坂口さんは「三刀流」にも挑戦。3本目の筆を口にくわえ、やはり鏡文字で「花鳥風月」という文字を書いてみせます。今回は和紙ではなく、透明ボードを使うことで一筆一筆の動きもよく見え、技巧の素晴らしさが一層伝わるパフォーマンスとなりました。「完成品を眺めるだけではなく、それがどうやってできているのかを知るのはとても大事なこと。これは家電やリサイクルをはじめ、ものづくりすべてにいえることだと思うのです」
「リサイクルの先には何があるのか。まずはそれを探ってみましょう」と坂口さん。和紙にさらさらと「リサイクル」の文字を書き込みます。「リ」は下に大きく、「サ」は上に平べったく、「イク」はその下に小さく並べて……という配置をしていくと、出来上がったのは「夢」という文字。リサイクルには夢がある、というわけです。
リサイクル家電といえば、エアコンや冷蔵庫が主流です。そこで、次は「えあこん」と「れいぞうこ」という文字を書いていきます。すると、9つのひらがなの集合体が、「資源」という文字に生まれ変わりました。次々に繰り出されるみごとなパフォーマンスに、会場は感嘆の溜息と拍手の嵐。その熱気に引き寄せられるように、ステージには続々とお客様が集まってこられました。
世界にたった一つの
名前入り「メモリアルポエム」
最後のパフォーマンスは、「メモリアルポエム」です。これは、名前の漢字をすべて使用してつくる、世界に一つだけのポエム。お客様のお名前をもとに、心温まる詩を即興で色紙に綴ります。使われている墨は、世界文化遺産宮島弥山(みせん)の頂にある「消えずの霊火堂」の炭を、田んぼの土などと混ぜ合わせて作った坂口さんのオリジナル。また、リサイクルというテーマになぞらえ、和紙にはおりづる再生紙(世界中から広島平和記念公園に届く折り鶴を再生するプロジェクト)を使用しています。これもまた、新しくモノを生まれ変わらせる“Re-Birth”のかたちです。
今回は、アンケートにお答えいただいたお客様の中から先着6名様に、「メモリアルポエム」を贈呈させていただきました。自分の名前の入った色紙を大事そうに受け取るお子さん、奥様へのプレゼントにするという年配の男性、お母様の誕生プレゼントに詩を依頼された女性……どなたも素敵なポエムに大満足のご様子でした。贈り物として受け取られた方には、きっとさらなる感動が待ち受けていることでしょう。
METoA Ginzaで開催中の「Re-Birth in Ginza ー 家電リサイクルが創る、出会いと驚きの世界。」に合わせ、今回だけの特別なパフォーマンスを披露してくださった坂口赤道さん。その一つに、「五感」と書いて裏返すと「愛」になる、というからくり文字がありました。そこには、「見て、触れて、体験して、五感で愛を感じ、伝えてもらいたい」という想いが込められているそうです。それは、METoA Ginzaが目指す姿そのもの。見て、触れて、体験できるMEToA Ginzaの企画展や本イベントが、みなさまの感性を研ぎ澄ませるきっかけになれば、幸いです。
METoA Ginzaでは、これからもみなさまに新しい驚きをもたらすさまざまなイベントを企画してまいります。ぜひご期待ください。